県は12日、発生・流行が懸念される「新型インフルエンザ」の対策研修会を箕輪町文化センターで開いた。県立須坂病院の高橋央・感染症制御部長は講演で、「どれだけ真剣に取り組むかで患者は多くもなり、少なくもなる。被害を最小限に抑えるため地域で準備を」と強調した。医師や看護師ら医療関係者が対象で、市町村担当者を含め約180人が聞いた。
新型インフルエンザに対する医療体制整備に向け、発生から大流行期(パンデミック)までの対策の参考にしようと初めて開いた。6月下旬から県内3会場で計画し、今回の南信地区が最後。
高橋さんは1957年に発生したアジア風邪などに比べて、新型は「格段に速いスピードで世界同時多発的に起きるだろう」と指摘。「国や県の当局の努力はもちろんだが、皆さんが活躍しなければ死亡者の数字を下げることはできない」と訴え、大流行した場合、限られた医療体制の中でどの世代の救命を優先するのか、「皆さんでディスカッションを始めて、地域に問い掛けてほしい」と求めた。
新型肺炎(SARS)を教訓に「医療従事者が感染するリスクが高い」とし、防ぐための訓練の必要性も語った。
県衛生部健康づくり支援課の鳥海宏課長はあいさつで、「今後は地域の医療体制を保健所を中心を整備することになるが、医療機関の協力があって成立する」と話した。県からは5月に策定した対策行動計画の概要説明があった。