宮内庁は10日、天皇陛下が皇居にすむタヌキについて研究者らと共同執筆した論文が専門誌に掲載されたと発表した。魚類の研究で知られる陛下はこれまでにハゼ類に関する論文30編を発表されているが、ハゼ以外の動物について書くのは初めてという。
「皇居におけるタヌキの食性とその季節変動」と題した論文は、6月23日付で発行された国立科学博物館の研究報告に掲載された。皇居での目撃例はあるが、はっきりしていなかった生息実態に関心を抱かれた陛下の発案で、同博物館研究員や宮内庁職員と2006年4月から翌年12月にかけて調査した。
決まった場所に排せつするタヌキの習性を利用し、陛下自ら御所近くで糞(ふん)を採取、内容物の分析もされたという。論文では、都心にある皇居には人為的なエサに頼らず生息できるだけの昆虫や木の実が存在していることなどが、成果として報告されている。(10日 23:01)