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東大医科研教授、院生の論文にも虚偽記載

2008年7月13日3時1分

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 医学論文で研究倫理に関する虚偽記載をしていた東京大学医科学研究所の東條有伸教授(52)が今年2月にも、大学院生の博士論文に同じような虚偽内容を書き加えていたことが分かった。この論文に研究倫理にかかわる記載がないことを疑問視する動きが学内にあることを知った教授が、問題を取り繕うために加筆したとみられる。

 論文は、白血病患者の検体の遺伝情報を解析し、考察したもの。しかし、研究に使った検体提供者の同意や倫理審査委員会にかかわる記述がなかった。このため、大学側は1月末の論文審査の際、事実を確認したうえで記載するよう指示した。

 これを受け、東條教授は論文の「検体」の項目に、「本研究で使用した患者検体(骨髄または末梢(まっしょう)血)は、医科研の倫理審査委員会より承認を得た研究計画書にしたがって、その使用目的を説明したうえで、書面にて同意を取得可能であった症例から採取した」と加筆した。

 しかし、朝日新聞の取材を受けて医科研が調べた結果、研究は倫理委にかけられておらず、使用した可能性のある検体(医科研付属病院で二十数人から採取)すべてで同意を得られていなかった。論文審査は中断している。

 この研究は「臨床研究に関する倫理指針」(倫理委の承認や文書による患者同意の必要性)に違反する。東條教授は「古い検体に文書による同意がないことはわかっており、悪いと思った。(倫理委は)以前の申請でカバーできると思っていたが、逸脱したところもあった」と話している。(西川圭介、小倉直樹)

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