October 2007

October 13, 2007

「ただいま天候調査中…」の意味は!? -その4-

さて、「この空港がヤバい!」でしたね。

しかし、よく考えてみるとILSが滑走路の両方にある空港というのは
日本には新千歳、成田、中部、関西、福岡くらいしかありません。
羽田は南風時のILSは横風用滑走路にしかついていません。

すると必然的に、風向き次第ではどこの空港も充分ヤバくなってしまいます。
しかし、天気が悪い時に決まった風向きがありますので、問題がない場合が多いのです。

たとえば霧がよくでる釧路空港
釧路の霧は、海から流れ込んでくる霧です。
とすると、そのとき風は南風。
釧路空港の滑走路は南北になっていて向かい風で降りられますし、
霧でも大丈夫なカテゴリ3という最も精密なILSがついているのは南向きに降りる時です。
つまり、釧路では霧が出ていてもILSを使うことができるので、
ほとんどの場合問題ないのです。

というわけで、釧路は私個人的にはヤバくありません。
これを上回ってヤバい空港はたくさんあります。
やばい空港をリストアップしようかとも思いましたが、
あまりローカルな空港は得意でないので、
私の独断と偏見で、北から順に追っていきたいと思います。
ちなみに、北の空港は総じて雪に悩むことが多いです。(南は台風)
ILSがついている新千歳も例外ではありません。
ですからそれ以外で考えたいと思います。

北海道でいうならやばいのは女満別でしょうか。
南向き着陸用にしかILSがないので、
北風が強い&雪が降っているとかだともうどうしようもなくなる時があります。
あと特徴的なのが旭川
滑走路が北向きにかなり傾いているため、雪があったりして
滑走路の状態があまりよくないときは、
せっかくILSが使える北向き着陸が性能上できないことがあります。
(よく身内では「滑り台」といったりします)
するとILSの使えない南向き着陸になったりして、運航できなくなる時があります。

東北地方だとメジャーなところでは仙台でしょうか。
東風になるとILSが使えなくなるのですが、
そういう時はかならず低い雲が広がって雲低高度が極端に低かったり、
場合によっては霧になることもあります。こうなると厳しくなります。
同じような事情を抱えた空港として三沢がありますが、
こちらも仙台以上にやばいのでしょう。
天気を見ていると真っ先に霧が広がっていますから。

関東〜北陸地方は特にやばいと感じるところはありません。
ただ、例として羽田空港の弱点をあげてみましょう。
それは南向き着陸にILSがないことです。
(南西向きの横風用滑走路にはILSがありますが)
ILSを使う時はだらだらと降りるというお話はしましたが、
東京の都心部上空は日本でなく米軍の管理になっているため、
日本の航空局の都合では航空路が設定できなかったのです。
(よくいう横田空域問題というものです)
同時に騒音の問題もあり、南向き着陸にはILSがないのです。
まあ羽田の天気が悪い時、大体は南西の風が吹いてるので、
横風滑走路を使え、特に問題はありませんが、
南東の風が強くなると障害が出てきます。
(次回お話する羽田空港の事例でこの弱点が出てきます)

中部〜近畿にかけて、ダントツのやばさは中部国際空港でしょう。
前にもお話しましたが、冬の季節風がもろに横風となるため
横風制限値を超えてしまうととたんに運航不可能です。
滑走路を南北に作ってしまったのが、本当に悔やまれる空港です。
ほかに私が注目しているのは神戸があげられるでしょうか。
冬の終わりにオープンしたばかりの空港なので、
まだ本格的な冬のシーズンを体験していませんが、
六甲山脈からの吹き降ろしの風はもろに横風、
ないしはILSが使えない西風です。
この横風が制限値を超えるようなものなのか、
西風の時には天気が悪くなるのか、興味があります。

中国、四国地方はやばくない空港のほうが少ないでしょう(笑。
特に岡山、広島、高松は山の中に空港があるため、
ちょっとした天気の崩れでもすぐに雲の中に入って、
いわゆる濃い霧の状態になります。
霧になってしまうとカテゴリ3のILSでないとどうしようもないのですが、
これらの空港には普通のILSしかついていません。
また、離陸についての最低気象条件も割ってしまっていたりするので、
降りれないし飛べない、という状況になっていたりします。

九州の空港では悪天候といえば熊本ははずせません。
しかし、熊本には霧でも大丈夫なカテゴリ3のILSがありますので、
西風がよほど強くない限り大丈夫な場合がほとんどです。
むしろ、南風の大分、東風の宮崎と鹿児島のほうがよっぽどやばいです。
地形の影響もあって、上記の風が吹いた時は低い雲が出やすく、
最終進入の時に有視界飛行が出来ない場合があります。
そうなると追い風でILSを使うしかなく、厳しい運航になることもあります。

沖縄方面は南風のときは全般に厳しいことが多いです。
たとえば那覇空港は南向き着陸にILSがなく、
管制官がレーダーの画面を見ながらILSと同じ情報を声で誘導します。
GCA(Ground Controlled Approach)といいます。
「もっと右だ」とか「もっと降下角を大きく」といった内容を指示します。
航空機に無線機さえあれば、他の装備がなくても
ILSと同じ情報が得られるメリットがありますが、
カーナビを見ず、声だけで車を運転しているのと同じですから、
操縦のしづらさは群を抜いています。
他にも特に石垣島は南風だとILSやGCAがない上、
雲低高度が低いことが多く、なかなかの厳しさといえます。

海外の空港では、日本から飛んでいる主な空港では
とくに厳しいところはありません。
各国の玄関口とも言える空港ですから、ILSが満足についていたり、
天気自体が日本のようにめまぐるしく変わる気候でなかったり、
といった理由です。台風や大雪に悩むことはありますがその程度。

さて、次回、更新をサボっていたのでもう季節が終わってしまいそうですが、
台風がくるとどのようなことになるのか、
今年9月6日から7日にかけての羽田空港の事例を見てみたいと思います。

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