July 05, 2006

管制承認



さてようやく飛行機が出発できそうですが、
飛行機が空港を動くだけでも管制の許可が必要なのです。


飛行機は出発5分前になると、空港にある管制承認伝達席に対し、
「出発5分前なので今回のフライトの管制承認をくれ」
と要求します。(実際は英語で行われます)

それに応答した管制官は、(日本では)福岡にある
航空交通流管理センターに電話をします。
「***便が先ほど提出された飛行計画の管制承認を求めています」
(これも英語)

世界の空を飛ぶ、いわゆる航空機のほとんど(軍用機以外)は、
事前に管制機関に飛行計画を提出しています。
いつ、どの経路を、どんな飛行機が、何人乗せて飛ぶのかといったことです。
各国の航空会社は専用の電報を打つ回線があり、
それを使って飛行計画を提出します。
個人所有の飛行機などの場合は、手書きで管制事務所に提出します。

福岡の管制官は悩みどころです。
さっき別の便に同じ経路で同じ飛行高度を承認したばかりだなあ・・・
このまま許可したらこいつらぶつかっちゃうぞ。
じゃあ、こいつには待ってもらうか、別の高度でいいか聞いてみよう。
そして空港の伝達席にこういいます。
「***便に別の高度でいいか聞いてください。
 でなければこちらから指示するまで待たせて下さい」(これも(略

この言葉が伝達席の管制官から飛行機のコクピットに伝えられ、
「じゃあ高度を変える」とか「じゃ待つよ」とか返事をするわけです。

飛行機がドアをクローズしても
なかなか出発しないことがあるのはこのためです。
管制承認がないと飛行機は誘導路に出ることすら出来ないのです。


もっと言うと、エンジンすらかけられません。
今度皆さんが飛行機に乗るときには注意していただきたいと思いますが、
ちょうど飛行機が動き出した頃は
機内で「安全ビデオ」などが流れている頃です。
このとき、ブゥーーーーンと車のエンジンを
回しているかのような音がするかと思います。
実はこの音、飛行機のエンジンをかけている音なのです。

飛行機は、駐機中は燃料をムダに使わないように
エンジンは切ってあります。
飛行機のお尻の先に、巨大な発電機のようなものがあって、
これで電力その他を供給しています。
もっともこの発電機も、
小型機のエンジンよりも大きかったりしますが。
最近は、地面のコンセントから電気をとっている場合も多々あります。


昔は、飛行機が後ろに下がるのに、
いわゆるエンジンの逆噴射で進んだ場合もあるようですが、
飛行機の逆噴射とは正しい意味での逆噴射ではないので、効率が悪く、
安全上にも問題があって、ずいぶん前に禁止されました。
そして現在では牽引車(トーイング・カー)に
お出まし願っているわけです。



さて、飛行機が駐機場を離れる話題でしたね。
飛行経路の管制承認がないと出発できませんし、
駐機場を離れるときにも地上管制(グランド)に許可を求め、
誘導路の走り方まですべて指示されます。
滑走路まで誘導されたら、こんどは飛行場管制(タワー)と交信し、
滑走路への進入、離陸滑走などの許可を求めます。
飛んだら飛んだで、今度は出域管制(デパーチャー)と交信します。
デパーチャーのあとは管制区(コントロール)と交信し・・・
このあたりのお話はまた後日詳しく。

というように飛行機はこのまま目的地に降りるまで
各地の管制官に引き継がれながら飛んでいきます。

個人所有の飛行機などは、必ずしもこうでない場合もありますが、
航空会社が飛ばしている飛行機はまずこのように、
管制官に見守られて飛びます。


ちなみに管制機関を総括しているのは国土交通省航空局。
管制官はみな立派な公務員です。
つまり空を見守るお巡りさんのようなもの。

管制官が空の交通整理と言われる理由、お分かりになりました?

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コメント一覧

1. Posted by mokoko    July 06, 2006 11:14
久しぶりに来ました☆更新楽しみにしてますねっ!

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