May 17, 2007

空も「渋滞」!?

さて、空が渋滞するとどうなるのでしょうか。


というより、「なぜ」渋滞するのかといえば、
羽田空港のように全国から飛行機が集まってくるところ、
なんとなく混む感じがしますよね?

もうちょっときちんと言うと、
結局ボトルネックになっているのは、途中の空の高速道路は何車線分もあるのに、
着陸するときにはまた一車線に合流しなければならないからです。
地上の道路でも、合流する前後って、渋滞しますよね。

ですが、空を飛んでいる飛行機に、
「ちょ、ちょ、ちょっと止まって!」とは言えないので、
後続の飛行機が前の飛行機に追いつきそうなときには、
管制官が予め「スピードを落としなさい」と指示をしたり、
あるいはルート上にある「ホールディングポイント」という場所で
ぐるぐると飛行機を旋回させて順番を待たせたりします。

飛行機に乗っていて、たまに「空域混雑のため、旋回を指示されております」
といったアナウンスがあるかもしれませんが、こういったケースなのです。


最近では、通常よりも遠回りをさせることで時間をかけさせ、
スピードを落としたのと同じことをする、なんてこともやるようです。

たとえば、羽田空港に北向きに着陸する場合を考えましょう。
(風向きは当然北風ですね)
西日本方面から帰ってくると、たいていは静岡県上空あたりで
すでに高速道路を下りるように指示があり、高度を下げ始めています。

そして最短経路の場合、伊豆半島上空を通過して、伊豆大島、
千葉県の館山を通って、房総半島の山の中までやってきてから
羽田空港に向け降下します。伊豆半島上空からおよそ15分です。

これが混雑時は伊豆半島上空からちょっと南に回されます。
房総半島の外から大きく回りこんで、ちょうど鴨川のあたりから
まっすぐ羽田空港に向かって降下します。
これだと25分くらいかかることもあります。


しかし最近は、地球環境のことが話題になるようになりました。
つまり、上空で飛行機を待たせていると、その分、燃料を余計に消費し、
二酸化炭素が多く排出されてしまいます。

そういったことにならないよう、最近では
福岡にある航空交通管制センター(以下ATMC)という機関が、
空の交通量を制限します。

航空会社各社からは、あらかじめある飛行機が何時に出発して、
経路はどこを通って、という飛行計画が提出されていますので、
ATMCはぜんぶ計算してしまいます。
つまり、特定の時間の空の混み具合をすべて再現してしまうのです。
そして、混雑が予想される場合には、それぞれの飛行機に、
離陸の時間を指定して、交通量を規制するわけです。
ギョーカイでは「フローコントロール(Flow Control)」といいます。

羽田空港へ向け出発する飛行機などでたまに
「この時間帯、目的地羽田空港での混雑緩和のため、
管制機関より離陸時刻を指定されております。
当機の離陸時刻は○時○分です。」
というアナウンスがありなかなか出発しないことがありますが、
この場合はそういったケースなのです。


特に渋滞しやすいポイントを特別にお教えしましょう。
まず、国内線では羽田へ向かう飛行機。ほぼこれのみでしょう。
ただ、天候の関係で、天気がよくなり着陸に問題がなくなるまで待つ、
ということはあります。

国際線でも、そういうポイントがひとつ。
それは中国へ向かう飛行機。
中国と日本の上空ではそれぞれ管制機関が違います(当たり前ですね)。
日本から中国へ向かう航空路は、なんと実質2つしかありません!
(ただし、香港とマカオだけは特別で、そちらには別のルートがあります)
長崎から上海へまっすぐ向かうルートと、韓国から北京へ向かうルートです。
しかも車線数も10車線もなく、片側3,4車線しかない場所もあります。

日本、韓国、中国。それぞれの航空管制を担当する機関が違うことと、
韓国では軍事独裁政権があった時代に中国との航空路を拡張しなかったこと、
中国のほうでも、レーダーの配備が遅れ、
航空路をたくさん設定することができなかったなど
それぞれ事情があってこうなってしまいました。
今後数年のうちに、とりあえず車線数だけは増やしていくようです。

昨今中国の経済発展に伴い、JALやANAに限らず、世界中の航空会社が
日本上空を通って中国へ行く路線をたくさんつくっています。
するとどうしてもこの部分がネックになります。

そして成田空港発の飛行機がとばっちり(?)を受けて、
さきほどのATMCの交通量制限、フローコントロールを受ける場合があるのです。



乗客の皆様にはいつもお待たせして申し訳ありませんが、
空の渋滞につきましてもご理解をいただければ幸いです。

トラックバックURL

コメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価:  顔   星
 
 
 
Profile
最新記事
Archives
Recent Comments
Recent TrackBacks
Blog内検索
  • livedoor Readerに登録
  • RSS
  • livedoor Blog(ブログ)