June 15, 2007
雷接近!〜そのとき飛行機は〜
さて、今回は雷の第2弾、飛んでいる飛行機への影響についてでした。
ずばり、飛行機に雷が落ちたらどうなるのかというと、
ほとんど影響ない場合が大半です。
結構大きな音と、それなりに振動もありますので、
乗り心地が悪いのには違いありませんが、飛行の安全には問題ありません。
ギョーカイでは、「被雷」、「Lightning Hit(ライトニングヒット)」といいます。
まず、飛行機には飛んでいる間にたまった静電気を逃がす為の針のようなものが
翼や機体のあちこちに無数についています。
飛行機に落雷しても、雷の電流はこれらのパーツを通って外へ逃げてしまいます。
ですから、飛行機の中の人間や貨物、燃料には一切影響ありません。
感電することもなければ、燃料に引火して爆発なんていうこともありません。
また、コンピューターなどに電流が入りこんで、
操縦系統を破壊するということもありません。
万が一大電流が入り込んでも回路にはヒューズがついていますし、
別の代替用の回路もありますので、操縦系統に大きな問題が出ることもないでしょう。
問題があるとしたら、機体外部についているスピードや気圧などの計測器を壊したり、
(これも別系統がありますので普通は大丈夫ですが)
被雷した機体の表面にごく小さな焦げ跡を残してしまうことです。
エンジンのブレードなどの薄い構造の部分に被雷すると、
小さな穴(直径数mm程度です)があくこともあります。
そのフライトだけならば問題ありませんが、
さすがに次のフライトではその状態で飛ばせない、といった修理規定があったりします。
ですから、飛行中に被雷していると、地上では整備士が必死に被雷箇所を特定、
場合によっては修理に入ります。
雷の多い日には、こういった修理が多発し、機材変更も多発することになります。
事前座席指定などでせっかく好きな座席を押さえていたのに、
当日機材変更といわれて座席を変えられてしまう場合がありますが、
雷もその原因のひとつなわけです。
とまあ、雷だけなら飛行機にはさほど問題はありません。
むしろ、雷を生み出している親玉、入道雲(積乱雲)のほうが
はるかに飛行機にとっては脅威なのです。
まず積乱雲の中は名前にもあるように「乱」、つまり乱気流が多く発生しています。
ちょっとカタカタ揺れるなあ・・・程度のものではありません。
積乱雲の中の気流は、まるで飛行機が木の葉のように舞ってしまい、
中では手荷物が宙に舞ったり、酸素マスクが落ちてきてしまうほどの揺れがあります。
ひどい乱気流であれば、それだけで機体の構造を破壊してしまうほどです。
さらに、積乱雲の中で木の葉のように舞うのは飛行機だけではありません。
雨の粒もひらひらと舞って、氷点下を行ったりきたりするうちに、
雨が凍った氷の粒のまわりにさらに雨が付着→その周りの雨も凍る
という動作を繰り返します。
いつしか大きな氷の塊が出来上がって、それが「ひょう(雹)」と呼ばれるのです。
雹は機体に当たっただけで機体はボコボコに変形してしまいます。
いつか飛行機の翼というのは大変繊細で整備士も足を乗せてはいけない場所がある、
というようなお話をしましたが、それどころの騒ぎではないですよね。
また、雨が凍るのは機体の表面でも起こりえます。
つまり、飛んでいる飛行機にどんどん氷がついてきてしまうのです。
着氷といい、ギョーカイでは恐れられている現象の一つです。
これも飛行機の翼の形を変えてしまうので、
推進力や揚力を大きく削がれることになり、危険な事態になりえます。
最近何かと話題になる、「ダウンバースト」も積乱雲がもたらす現象です。
積乱雲の中で、急速に雪が雨になり、雨が蒸発し・・・ということが起こっていると、
それにより周囲の空気から熱を奪い、
大きな冷たい空気の塊が地面に向かって落ちてくることがあります。
これがダウンバーストと呼ばれる現象です。
小さなものはマイクロバーストとも呼ばれますが、原理は同じです。
飛行機にとっては、下降気流により頭を押さえられて高度をなくしてしまうことと、
その下降気流が地面にぶつかって、四方に風が広がることで、
ダウンバーストの外と中で全く違う向きの風が吹くこと、この2点が問題になります。
ギョーカイでは、風の吹く向きや強さが大きく変わることを
「Wind shear(ウインド・シアー)」といいます。
たとえば、今まで向かい風であったのが急に追い風に変わると、
飛行機が生み出せる揚力が急に減少し、
高度が急に下がり、危険な状態になる可能性があります。

ご紹介したように、雷は飛行機にとってさほど怖くありませんが
積乱雲というのはそれだけで「空の立ち入り禁止区域」とも言うべき
危険な現象が山ほど詰まっているわけです。
もちろん、実際の飛行機においては積乱雲に入ることはほとんど無いはずです。
パイロットは、その危険を入社当初から徹底的に教えられているからです。
夏の青空と、真っ白な積乱雲のコントラストは、とても美しい光景ですが、
その美しさとは裏腹に、空には危険も潜んでいるのです。
ずばり、飛行機に雷が落ちたらどうなるのかというと、
ほとんど影響ない場合が大半です。
結構大きな音と、それなりに振動もありますので、
乗り心地が悪いのには違いありませんが、飛行の安全には問題ありません。
ギョーカイでは、「被雷」、「Lightning Hit(ライトニングヒット)」といいます。
まず、飛行機には飛んでいる間にたまった静電気を逃がす為の針のようなものが
翼や機体のあちこちに無数についています。
飛行機に落雷しても、雷の電流はこれらのパーツを通って外へ逃げてしまいます。
ですから、飛行機の中の人間や貨物、燃料には一切影響ありません。
感電することもなければ、燃料に引火して爆発なんていうこともありません。
また、コンピューターなどに電流が入りこんで、
操縦系統を破壊するということもありません。
万が一大電流が入り込んでも回路にはヒューズがついていますし、
別の代替用の回路もありますので、操縦系統に大きな問題が出ることもないでしょう。
問題があるとしたら、機体外部についているスピードや気圧などの計測器を壊したり、
(これも別系統がありますので普通は大丈夫ですが)
被雷した機体の表面にごく小さな焦げ跡を残してしまうことです。
エンジンのブレードなどの薄い構造の部分に被雷すると、
小さな穴(直径数mm程度です)があくこともあります。
そのフライトだけならば問題ありませんが、
さすがに次のフライトではその状態で飛ばせない、といった修理規定があったりします。
ですから、飛行中に被雷していると、地上では整備士が必死に被雷箇所を特定、
場合によっては修理に入ります。
雷の多い日には、こういった修理が多発し、機材変更も多発することになります。
事前座席指定などでせっかく好きな座席を押さえていたのに、
当日機材変更といわれて座席を変えられてしまう場合がありますが、
雷もその原因のひとつなわけです。
とまあ、雷だけなら飛行機にはさほど問題はありません。
むしろ、雷を生み出している親玉、入道雲(積乱雲)のほうが
はるかに飛行機にとっては脅威なのです。
まず積乱雲の中は名前にもあるように「乱」、つまり乱気流が多く発生しています。
ちょっとカタカタ揺れるなあ・・・程度のものではありません。
積乱雲の中の気流は、まるで飛行機が木の葉のように舞ってしまい、
中では手荷物が宙に舞ったり、酸素マスクが落ちてきてしまうほどの揺れがあります。
ひどい乱気流であれば、それだけで機体の構造を破壊してしまうほどです。
さらに、積乱雲の中で木の葉のように舞うのは飛行機だけではありません。
雨の粒もひらひらと舞って、氷点下を行ったりきたりするうちに、
雨が凍った氷の粒のまわりにさらに雨が付着→その周りの雨も凍る
という動作を繰り返します。
いつしか大きな氷の塊が出来上がって、それが「ひょう(雹)」と呼ばれるのです。
雹は機体に当たっただけで機体はボコボコに変形してしまいます。
いつか飛行機の翼というのは大変繊細で整備士も足を乗せてはいけない場所がある、
というようなお話をしましたが、それどころの騒ぎではないですよね。
また、雨が凍るのは機体の表面でも起こりえます。
つまり、飛んでいる飛行機にどんどん氷がついてきてしまうのです。
着氷といい、ギョーカイでは恐れられている現象の一つです。
これも飛行機の翼の形を変えてしまうので、
推進力や揚力を大きく削がれることになり、危険な事態になりえます。
最近何かと話題になる、「ダウンバースト」も積乱雲がもたらす現象です。
積乱雲の中で、急速に雪が雨になり、雨が蒸発し・・・ということが起こっていると、
それにより周囲の空気から熱を奪い、
大きな冷たい空気の塊が地面に向かって落ちてくることがあります。
これがダウンバーストと呼ばれる現象です。
小さなものはマイクロバーストとも呼ばれますが、原理は同じです。
飛行機にとっては、下降気流により頭を押さえられて高度をなくしてしまうことと、
その下降気流が地面にぶつかって、四方に風が広がることで、
ダウンバーストの外と中で全く違う向きの風が吹くこと、この2点が問題になります。
ギョーカイでは、風の吹く向きや強さが大きく変わることを
「Wind shear(ウインド・シアー)」といいます。
たとえば、今まで向かい風であったのが急に追い風に変わると、
飛行機が生み出せる揚力が急に減少し、
高度が急に下がり、危険な状態になる可能性があります。
ご紹介したように、雷は飛行機にとってさほど怖くありませんが
積乱雲というのはそれだけで「空の立ち入り禁止区域」とも言うべき
危険な現象が山ほど詰まっているわけです。
もちろん、実際の飛行機においては積乱雲に入ることはほとんど無いはずです。
パイロットは、その危険を入社当初から徹底的に教えられているからです。
夏の青空と、真っ白な積乱雲のコントラストは、とても美しい光景ですが、
その美しさとは裏腹に、空には危険も潜んでいるのです。