4月4日、岩手県の精神科医が準強姦の疑いで再逮捕されました。この精神科医は、18歳の知人の少女に睡眠薬を飲ませて意識を失わせ、わいせつ行為を働いた疑いで、2月23日に既に逮捕されていました。今回の再逮捕は、最初の逮捕の報道で事件を知った10代の別の少女が、自分にも心当たりがあると警察に相談したことがきっかけでした。この少女はその精神科医の患者で、同様に睡眠薬を飲まされた上で暴行されていました。
最近、「心の専門家」を称する心理学者や精神科医による性犯罪が目に付くようになってきました。そもそも、精神医学や心理学による診断、判定には科学的根拠が存在しません。うつ、社会不安障害、ADHDなど、最近マスコミやテレビCMでも話題にあがることの多い病気、障害についても、診断の境界線や科学的根拠はなく、医師の主観に左右されることは意外と知られていません。専門家と呼ばれる人がいい加減な診断や治療を行ったとしても、知識を持ち合わせていない市民、特に治療を受ける立場にある患者が、その是非を判断することは困難です。その結果、精神医療現場や心理療法の現場では、性犯罪の温床となっています。最近の主な事件は以下の通りです。
東大阪大学こども学部(大阪府)
平成18年3月8日、強制わいせつの罪に問われた東大阪大学の元教授高橋十九朗被告に対する初公判が大阪地裁で開かれた。同被告は、こども学部こども学科の教授となり、幼児心理学などを専攻していた。昨年、キレやすいと言われる現代の子どもの心理現象を調べるための研究対象の児童を募集し、心理学実験に協力するため研究室へ来た小学4年の女児(10)の胸などを触ったとされる。
香川大学教育学部(香川県)
平成18年3月23日、心の病の相談に訪れた20代の女性に対して、心理療法と称し胸や下腹部を触ったり、寝室で抱き合うなどのわいせつな行為をしたとして、準強制わいせつの罪に問われた香川大教育学部教授、岩月謙司被告の判決公判が高松地裁であり、懲役2年の実刑判決が言い渡された。「重症の幸せ恐怖症だ。のろいを解かないと幸せを逃がしてしまう」と言って治療と信じ込ませた被告の行為を、裁判長は「卑劣極まりない犯行」と非難した。
安田メンタルヘルスクリニック(愛知県)
平成18年3月23日、名古屋高裁において、一審で実刑判決を受けていた精神科医・安田好博被告に対する第一回控訴審が開かれた。同被告は、診察行為と偽って女性患者の胸を触るなどして強制わいせつなどの罪に問われ、平成17年10月25日に名古屋地裁岡崎支部で開かれた判決公判で、懲役1年8月が言い渡されていた。
都南病院(岩手県)
平成18年4月4日、岩手県警は準強姦容疑で元精神科医浜崎高之容疑者(42)を再逮捕した。紫波署の調べによると昨年9月6-7日、診療を担当していた10代後半の無職女性に自宅で睡眠薬のような薬物を飲ませて昏睡状態にし、暴行を加えてわいせつな行為をした疑い。同署は9月下旬、別の女性に睡眠薬を飲ませてわいせつ行為をしたとして準強制わいせつ容疑で今年2月に逮捕。盛岡地検は準強制わいせつ罪で、元精神科医浜崎高之容疑者(42)を盛岡地裁に起訴している。
これらの事件の共通点は、全て被害者あるいはその親が警察に相談した結果、逮捕に至っている点です。以前であれば、密室での性犯罪は立証し難く、警察も検察もそれほど積極的に動いてはくれなかったようですが、弱者である女性、子ども、障害者の声に耳を傾けるようになってきています。岩月教授の事件については、一度は起訴が見送られたのですが、不起訴不当という審査会の判断があって、今回の実刑判決にまでたどりつきました。性犯罪そのものが、表面化されにくいということありますが、治療者という立場を利用して行われるこのような卑劣な犯罪は特に明らかにされるべきです。被害者は実際には多数いると思われますが、この現状を変えるのは、被害者の勇気ある告発に頼らざるを得ないのが現実です。被害の心当たりがある方は、是非警察なりに相談してみて下さい。
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