夫の暴力から逃れるため佐賀県伊万里市から県外に転居した女性が、ドメスティックバイオレンス(DV)防止法に基づき夫に新住所を知らせない手続きをしたのに、市が夫の求めに応じて女性の住民票を渡していたことがわかった。女性は市から謝罪を受けたが、精神的苦痛を受けたとして市に損害賠償を求めている。
市の説明によると、4月21日、夫に新住所を知らせないよう求める書類が女性の転出先の警察署から送られてきたため、市民課が住基システム端末にDV防止の警告が出るよう入力した。ところが、4月25日に女性から郵送で転出証明の発行を求められ警告をいったん解除。その後、元に戻すのを忘れていた。
女性の夫は4月28日、市民課の窓口で住民票を請求し、女性の転出予定地が書き込まれた住民票の交付を受けた。5月上旬、夫が転出先を再確認にきた際、市民課の職員が警告が解除されていることに気づいたという。
市は女性の転出先に職員を派遣し、謝罪した。緊急避難的な再転居費の負担を伝えたが、6月になって損害賠償を求められたという。再発防止のためにDV警告システムを改善しており、「女性に誠心誠意対応する」という。