【ソウル中島哲夫】北朝鮮・金剛山の観光客立ち入り禁止区域で11日、韓国人女性客が警備兵に射殺された事件について、李明博(イミョンバク)韓国大統領は12日の関係閣僚会議で「とうてい理解できない」と非難、「迅速な真相究明」を指示した。韓国政府は南北合同の調査のため、当局者を含む調査団の受け入れを北朝鮮に求める接触を始めた。
しかし北朝鮮の名勝地総合開発指導局は同日夕、朝鮮中央通信を通じて発表した談話で調査団派遣を「許容できない」と拒否した。談話は「責任は全面的に南側にある」と指摘。韓国が金剛山観光の暫定的中断に踏み切ったのは「我々に対する挑戦だ」と断じ、むしろ韓国側が謝罪し、再発防止策を講じるまで「観光客を受け付けない」と強硬姿勢に出た。
金剛山観光は北朝鮮にとって貴重な外貨収入源だが、韓国政府の要求に屈することは考えにくい。事態収拾は難航必至となった。
一方、金剛山観光を行う現代峨山(アサン)の尹万俊(ユンマンジュン)社長ら6人が12日、北朝鮮側との折衝のため金剛山入りした。
尹社長によると、12日朝時点で金剛山地域に滞在する観光客1362人の大半が予定の観光日程をすべて消化したいと希望。12日中に1012人、13日に350人がそれぞれ韓国側に帰れば、完全に観光が中断される。
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