販売開始に並んだ1番目の客にiPhoneが手渡された=11日正午過ぎ、大阪市北区、伊藤恵里奈撮影
米アップルの新型携帯電話「iPhone(アイフォーン)3G」が11日、日本を含む21カ国・地域で同時発売される。昨年発売された「初代」は欧米で人気を呼び、日本でも注目されてきた。国内販売を手がけるソフトバンクモバイルの店頭などには、徹夜組を含め多くの人が並んだ。
10日午後から徹夜で発売を待つ人の行列が出来た大阪・梅田の家電量販店「ヨドバシ梅田」前では、開店前の午前8時半から整理券を配った。約200枚用意した11日受け付け分の券は30分ほどでなくなり、12日、13日分の整理券を受け取る人も。神戸市の大学生、森永真央(まさひろ)さん(20)は「機能よりも格好いいデザインが魅力。1年半ほど前から、日本で出たら買おうと決めていた。やっと来たという感じです」と喜んだ。
正午の全国一斉の販売開始前には、ソフトバンク社のCMに出演している俳優のダンテ・カーヴァーさんらが同店前でカウントダウン。集まった客らから拍手が起こった。
iPhoneは、画面を指でたたいたり、なぞったりして操作するタッチパネル方式が売り物。07年6月に売り出された旧機種は、今年5月までに欧米で約600万台を売った。日本の通信方式に対応する仕様がなく、これまで発売されなかった。新機種「3G」はより高速・大容量でデータのやりとりができ、今年中に世界で約770万台の販売を目指す。価格は、割引後の実質負担で2万3040円(記録容量8ギガバイト)と3万4560円(同16ギガ)。ほかに基本料や通信料で毎月最低7280円が必要だ。
デジタル放送を視聴できる「ワンセグ」が受信できなかったり、「おサイフケータイ」機能がなかったりと、国内の高性能機種より見劣りする面もある。ただ、利用者が様々なソフトを取り込むことで、携帯電話会社が用意する機能やサービス以外に使い道を広げることができる。
日本では、NTTドコモの「iモード」のような携帯のネット接続サービスが世界に先駆けて普及。携帯電話会社の主導で新機能やサービスを競ってきた。一方、iPhoneは端末メーカーであるアップルが主導権を握り、使うソフトや音楽・映像の販売でもアップルに手数料が入る。こうした方式が刺激になり、携帯会社主導だった日本市場が変わる可能性がある。
ただ、「日本では片手でキー操作できる携帯端末に慣れている」(NECの矢野薫社長)などの声もある。「ワンセグ」や「おサイフケータイ」に慣れた利用者は、iPhoneには流れないとの見立てだ。