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【社会】

台湾ウナギ、安くてうまいよ 「国産」表示取りやめを逆手

2008年7月12日 朝刊

 【台北=野崎雅敏】日本から輸出した幼魚が海外で成育後、日本へ逆輸入された「里帰りウナギ」問題。事実と異なる産地表示が表面化した日本では、里帰りウナギの「国産」表示などをやめると決めたが、主な成育先の台湾では「日本で台湾産として売られるウナギも、多くは日本から輸入した幼魚を台湾で育てたもの。安価で質のいい台湾育ちを認めてもらう好機」とみている。

 市町村別で日本一のウナギ生産量を誇る愛知県一色町の一色うなぎ漁協が、一色産などとして取り扱った台湾からの里帰りウナギは72トン(約26万匹)に上った。

 台湾の業界関係者によると、日本から預かった里帰りウナギ用の幼魚だけを、ほかの幼魚と別の池で育て、再び日本へ返すことは事実上、不可能。幼魚の育ち具合によってさらに細かく池を分ける必要があり、大幅なコスト増を招くからだ。「そこで書類上の操作で、つじつまを合わせることはありえる」という。

 日本で表面化した産地表示の問題が起きる背景については、「日本の消費者の強い“国産”志向がある」と、台湾の官民で構成する財団法人・台湾区鰻魚発展基金会の郭瓊英理事長はみる。「台湾産と言っても、日本産と言っても、日本人が食べるウナギが生まれるのは南西太平洋で同じ。産地にこだわるより、どう育てられたかを注目してほしい」と話す。

 今回の産地表示の問題を「“里帰り”の強調は利益目当てでしかない。同じ台湾育ちなのに『国産』表示で、高いものを買わされていた日本の消費者が気の毒」とみていただけに、「国産」表示取りやめを台湾のウナギ業界の関係者は歓迎。“台湾ブランド”定着のため、近く日本で記者会見を開く。

 

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