元ナンバー2が語る「口利きの実態」
大分県の教員採用をめぐる汚職事件です。採用や昇進をめぐって金品のやり取りが横行していたと指摘されている教育委員会ですが、かつて県教育委員会の幹部だと名乗る男性がカメラの前で初めて証言しました。
「私にも口利きはありましたし、(当時は)7から8割は成績どおり採るという。あとの2割か3割は、だいたい2割で、それは多少男女の比率もあるし、それから臨時の長い経験もあるし、それから色んな人物の面接の評価というのもあるでしょうし。それだけだったら良かったけども、そこにやはり、また口利きや口利きを頼んだ依頼者のこともある」(元大分県教育委員会次長)
自らも関わった採用口利きの実態を明かすのは、元大分県教育委員会次長です。10年前は、大分県教育委員会のナンバー2でした。
「こういう人物が教員採用試験を受けるからよろしくお願いします、と言われる。(Q.県議からも?)県議、国会議員は秘書を通じて」(元大分県教育委員会次長)
元教育審議監で収賄の疑いで逮捕された二宮政人容疑者(61)は、役職上の2代後輩にあたります。当時も謝礼はあったのでしょうか。
「だいたい、もうほとんどが品物ですね、ワイシャツの仕立てなど、高いものでは2万5000円位でしたけどね。特別に高価なものであれば、非常に通常と違うなと感じていました。物が多くてね。今びっくりしているのは、それが金券になっているということ」(元大分県教育委員会次長)
教員採用をめぐる贈収賄事件。収賄側が元教育審議監・二宮容疑者と、人事担当の江藤勝由容疑者の2人。贈賄側は小学校の校長ら3人です。関係者の話しによりますと、江藤容疑者は二宮容疑者は上司の指示を受け、去年の採用試験で20人以上について口利きをしたとされます。一次試験と二次試験の両方で得点を加算し、10人近い受験者を不正に合格させたといいます。
「(Q.浅利被告はどのような言葉を?)大変残念だと。自分自身も残念だという風に言われたと、報告を受けています」(大分県教育委員会 小矢文則 教育長)
県教育委員会は小学校校長の浅利幾美被告(52)について、長男の教員採用に便宜を図ってもらう見返りに金券と現金をあわせて400万円を贈ったことを認めたため、11日付けで懲戒免職処分としました。しかし、疑惑は教員採用だけに留まりません。
「(Q.どうして受け取ったのですか?)コメントできません。(Q.受け取ったことは認めますか?)コメントはできません」(大分県教育委員会 現ナンバー2 富松哲博教育審議官・今月7日)
7日、記者団の質問にノーコメントを繰り返す男性。現職の教育委員会ナンバー2の、富松哲博教育審議監です。関係者によりますと、富松教育審議監は贈賄容疑で逮捕された矢野哲郎容疑者から、商品券20万円を受け取った疑いがもたれています。
矢野容疑者は離島の小学校の校長から、教育委員会参事に異例の昇格を遂げました。この際、富松教育審議監に商品券を渡したとみられています。この疑惑について尋ねられると・・・。
「捜査上の影響があるので、コメントできません。今、言わなくてもいずれ分かる」(富松哲博 教育審議監 大分県教育委員会)
警察の捜査に影響を及ぼすという理由で、富松教育審議監は詳しい説明を拒んできました。“いつ説明するのか”聞かれ・・・。
「今週の金曜日(11日)までに」(富松哲博 教育審議監 大分県教育委員会)
しかし11日、会見場に富松教育審議監の姿はありませんでした。
会見中止の理由は「体調が悪いので、約束していた会見ができなくなった」というもの。
「きのう、きょう連絡取ってない。連絡取れない(電話に)出ない」(大分県教育委員会 小矢文則 教育長)
一方、この問題をめぐり情報公開を求めてきた「おおいた市民オンブズマン」は、教職員組合と管理職の間で“なれ合い”があったと厳しく指摘しています。
「県教委も問題だが、県教組も問題にしないとね」(おおいた市民オンブズマン 永井敬三 代表)
教員採用にとどまらず、管理職の任用にまで発展した今回の事件。教育現場で横行してきた『カネ』と『コネ』、まだ底は見えません。(11日23:50)