地球温暖化対策を最大のテーマとした北海道洞爺湖サミットが閉幕した。ちょうど世界的な原油や食料の価格高騰が続き、日本でも諸物価上昇への悲鳴が高まる中での開催だった。だがおかげで、それらと深く絡む温暖化問題について、多くの人が実感を持って考えることができたはずだ。
私にとっても興味深いサミットだった。一番の理由は津山支社エリア内に、温室効果ガス削減につながる、全国的にも注目される二つの取り組みがあるため。一つは、津山市内で二〇一一年末本格稼働に向け計画されている国内最大級の風力発電施設。もう一つは、真庭市で進む木質系を中心にしたバイオマス(生物資源)エネルギー活用のシステムづくりである。
風力は、太陽光とともに無限に活用できる代表的なクリーンエネルギー。木くずなどを有効利用するバイオ燃料も、食料価格高騰を起こしたトウモロコシなどに比べれば、はるかに地球にも人にも優しいエネルギーだ。
ともに軌道に乗せるには、多くの課題を克服せねばならない。だが、未来の地球を救う可能性を秘めた、多方面から期待がかかる試みだ。特に過疎化や産業衰退が進む地元にとっては、地域生き残りのためのチャンスであり希望でもある。何とか成功を、と切に願う。
サミットの焦点「二〇五〇年までに温室効果ガス半減」は、残念ながら踏み込んだ形の合意には至らなかったが、その方向で行こうとの共通認識は得られた形だ。リーダーシップが問われる議長国日本。その推進力がわがエリアで大きく育つなら、うれしく誇らしい。
(津山支社・井谷進)