景気の減速が全国に広がっていることが鮮明になった。日銀が発表した七月の地域経済報告(さくらリポート)によると、全国九地域のうち東北を除く八地域の景気判断を下方修正した。八地域の下方修正は、四月の前回リポートに続き二回連続だ。全体の景気判断も前回と同じ「引き続き減速している」とした。
報告では、ガソリンや食料品の価格上昇を受け、全地域で衣料品や日用品などの個人消費に弱めの動きがみられると指摘した。原油や原材料価格の高騰は企業の収益も圧迫している。地域経済の先行きに一段と不透明感が強まってきたといえよう。
地域別では、減速しつつも「引き続き高水準にある」とする東海から、「弱めの動きとなっている」という北海道まで地域差がみられる。しかし、前回まで東海は「拡大基調」、近畿は「拡大」との判断が含まれていたが両地域から「拡大」の文字が消えた。北海道や北陸、九州・沖縄は、さらに悪化の方向が強まり、深刻さは増している。
中国地方は、「全体として緩やかな回復を続けているが、テンポはこのところ鈍化している」との判断だった。四国地方の判断は「横ばい圏内の動き」で、中四国ともに二期連続の下方修正となった。どちらも個人消費が弱まり、設備投資も減少していることが影響した。
わが国の地域経済を減速させている原油や食料価格の高騰問題は、世界経済にも大きな影を落としている。その対応が注目された先の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)は、首脳宣言で原油、食料などの一次産品の価格高騰について「安定成長に深刻な試練となり、世界のインフレ圧力を高める」として「強い懸念」を示した。しかし、原油市場に流れ込み、相場を押し上げている投機マネーの規制では各国の思惑がすれ違い、具体的な処方せんを出せず、期待はずれだった。
それでも、首脳宣言では、投機マネーの監視強化に向け、各国当局が商品先物市場の透明性向上のため、協力するよう求め、産油国と消費国の対話強化などを盛り込んでいる。今後、原油高対策の一環として、省エネルギーの推進策を議論する「エネルギー・フォーラム」を開くことなども決まった。
国内の地域経済も直撃する世界的な原材料の高騰に立ち向かうには、各国が協調して問題解決への道筋を探ることが必要だ。“強い懸念”の共有を、有効な対策につなげなければならない。
「おかやま観光コンベンション協会」の設立記念式典が、岡山市内で開かれた。同市への観光客と、学会や大会などコンベンションの誘致数拡大を目指して活動していく。
二〇〇七年度に同市内で開かれた宿泊者百人以上のコンベンションは四十三件と、過去十年で最も落ち込んだ。このため、観光振興とコンベンション誘致に一体的に取り組む新組織として市の外郭団体・市観光協会を組織変更し、六月にコンベンション協会が発足した。
協会では今後、医療や福祉、教育などの学会や各種業界団体、企画会社などに岡山での大会開催をPRしていくという。スポーツ大会の開催などもターゲットにしている。
岡山市の観光客動員力は、美観地区がある倉敷市に比べ大きく見劣りする。岡山市はこれまで、観光都市としてのイメージがあまりにも薄かった。日本三名園の一つ・後楽園を抱えながら、市としての観光面の取り組みに問題はなかったか。観光地としてもっとアピールできていればコンベンションの開催数も増えたはずだ。
岡山市は〇九年四月からの政令市移行を目指している。人やモノ、情報が集まる拠点都市としてレベルアップを図っていくという。観光都市としても、飛躍しなければならない。宿泊施設の魅力度を高め、交通機関の接客マナーを磨き、観光面での市の情報発信力も大きく向上させる必要がある。
岡山県の調査では、〇七年に県内を訪れた観光客は二千五百二万人と前年よりわずかに増えたものの、二千七百万人以上とピークだった一九九七年に比べれば低い水準にとどまっている。県都の魅力が高まれば、必然的に県全体の観光活性化にも弾みがつこう。
(2008年7月11日掲載)