「来てみればさほどでもなし富士の山」で始まる歌がある。思ったほど高くなかったと言うよりも、期待が高ければ高いほど満足度を得るレベルも高くなるということだろう 国土交通省が発表した海外旅行の期待度と帰国後の満足度の差を比べた日本人旅行者の調査で「がっかり度」が高かったのはフランスと中国だった。歴史や文化で期待度の高い両国である。越えるバーの高さが逆に働いたのかもしれない 先の歌は「釈迦も孔子もかくやあるらん」と続く。釈迦や孔子が小人物だったとの意味ではない。富士の高峰に尻込みしたり、大人物は自分と次元が違うと思って自己研鑽しないことを戒め、難問に挑戦してこそ人生だというのが真意だ 他人の期待を裏切らないのは難しい。期待は相手が勝手に抱くもの。それがガッカリしたり、予想以上だったとほめられる。どちらも本来は自分のあずかり知らぬことである。が、しばしば期待させた責任が問われる 世界遺産運動にも通ずる。「来てみればさほどでもなし」の世界遺産がないではない。高い目標に挑み、地域を磨く本気度が試されている。
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