15日(木)
朝からのぞみで大阪へ。3月31日オープン予定のユニバーサルスタジオ取材である。新大阪駅でコーディネーターの安斎レオポンと合流して、そのままタクシーで北港まで。ありましたよ、ユニバーサルスタジオ。

完成前の建築中風景を押さえたかったんだけど、広報担当官からしょっぱなに「建築中の写真はいっさいダメ」と言われたので、いったいナニをどう取材していいのやら悩んだ。途中で造形家の田中雷くんと会う。彼はここの社員になったそうで、「ジュラシックパーク」の恐竜や「ジョーズ」のサメ他、いろんな造形類のメンテを担当してるようだ。もちろん田中君から聞いた面白い話も全部ダメ。ちぇっ。
冬の寒空を歩き回ったので、ちょっと体調を崩した。タクシーでまっすぐ帝国ホテルにチェックイン。アメックスの優待券なので安く泊まれて嬉しいのだ。
16日(金)
朝、ホテルで目が覚めるといきなり和美から電話。「風邪をひいて動けないので、助けて欲しい」ということなので午後イチの新幹線で吉祥寺へ。たしかに和美、相当に酷いみたいで汗まみれのパジャマを洗濯するところから始める。夕食に鍋を作ると、和美は少しだけど食べてくれる。やや、ほっとした。
17日(土)
朝から和美を明大前のカイロプラクティックに連れて行き、帰って娘の昼食と和美の間食の準備。喉の痛みがまだ酷いらしく喋れないようだから、ときどき様子を見に行ってパジャマを取り替えさせる。夕食を作った後、僕はエムエムさん帰国パーティー、それも二次会場に駆けつけていちおう挨拶だけする。
18日(日)
明け方、「動物声優レストラン」という夢で目が覚める。札幌に動物声優たちと食事が出来るレストランがあって、そこに取材に行くという夢だ。動物声優とはナニか?
実は「サザエさん」のネコのタマの声、いつも「ニャーオ」としか言わないけど、あれは動物声優事務所に所属する本物のネコが声をあてていたのだ!(いや、夢の話ね)
僕が案内されたテーブルには小汚くて臭い牛がいたけど、プレートを見ると「柏端るりむ(芸名らしい):主な作品「少女革命ウテナ」第13話『七海さまご用心』の回で暴れ牛を演じる」とあった。隣の馬は「円卓の騎士物語・燃えよアーサー」で、アーサーの乗る馬の声を演じたらしい。その演技力をかわれてビデオ版「三国志」では関羽の乗る真っ赤な馬・赤兎馬を見事に演じきったとか。「うおおおお〜!岡田さん、すごい!」という額田さんの声に見るとそこには貧弱な犬。「この犬、ズイヨーの専属だったんですよ!だから『アルプスの少女ハイジ』のヨーゼフや『フランダースの犬』の前期パトラッシュ(後期は日本アニメが担当)も、彼がやったんですよ!」いや、夢の話だから信じないでね。
和美の看病でコミケ打ち上げの韓国鍋には結局参加できず。
19日(月)
和美、やっと復活の兆し。午後から明大前のカイロプラクティックにまた連れて行く。
夕食のカレーを午前中に作ってしまったので、夕方からは久しぶりに事務所で仕事。
○アニメ界、ちょっとイイ話のコーナー
芸術至上主義者、という言葉がある。文字通り芸術のためなら妻も泣かせるし親の死に目にもあえない、というハードな生き方を選択した人たちのことである。まぁこう大上段に構えなくても「釣りのためなら」という人は多いだろうし、モノマガ編集長の土居さんもサーフィンのためなら、という人種に違いない。時計やカメラの他、およそマニアと名が付けば彼らは全て「○○至上主義」なのである。
さて、『もののけ姫』というアニメがあった。その主題歌を歌ったM氏には根強いホモ疑惑、というにはあまりに真っ黒けの噂が飛び交っていた。まぁホモなんてのは個人の自由だからかまわない。さて、某アニメ誌でナウシカ担当の編集者、このMさんにトイレで小用をたしているところを「むんずっ」と掴まれたらしい。驚いた編集くん、あわてて監督の宮崎さんに苦情を述べにいった。すると宮崎尊師、すこしもあわてず「なんですか、それぐらい!芸術のためだ、やらせてあげなさい」と言い切ったという。こういう人を本物の「ゲイ術至上主義者」というのではないだろうか。ああ、オヤジギャグ。
21日(水)
喉が痛くて声が出にくいので、原稿書きに集中。2月前半の日記、さぼっていたので一気に2週分書く。もう思い出すのが大変。やっぱ日記は毎日書かなくちゃね。久しぶりに検索エンジンで自分の著作名を検索する。「洗脳社会」の評価の高さにちょっと驚いた。真面目に書いた本は評価されるなぁ。
和美宅へ行くときの曲がり角で、いつも気になる壁画をついに撮影。

こ、これはいわゆる・・「待てよぉ」「ウフフ、つかまえてごらんなさい」
だぁ〜!でもなぜにトマト?
22日(木)
和美とデジモノ連載の打ち合わせ→下書き→仕上げと、やればできるじゃないか的3時間原稿完成。
ヤフーオークションで競り落とした『さよなら岸壁先生』(作・小池一夫 画・石綿周一)全5巻が到着。

20年前のマンガだけど、今まで僕がこのマンガのすさまじい狂いっぷりを人に説明してもなかなか信じてもらえなかった怪作である。
さっそくパラパラと見たけど、もう自分の記憶以上にすげぇ。著作権の問題で皆さんにお見せできないのが残念である。
夕食に藍屋で鰻茶漬けを食って、武蔵野文庫で和美とお茶を飲む。「フロンの次に何を書こうか」という話で、僕は自伝小説を、和美は『人生テスト』を恋愛向けにリメイクした書き下ろしを、と意見が分かれ、とにかく素早くできる方を優先することにする。今年こそ拙速でありたいのだ。
23日(金)
事務所の自室で昼前まで寝てしまう。松原2号に弁当を注文して、溜まりに溜まっていたメールの返事を書きだす。昨年12月の返事をまだ書いていないのが判明して愕然。
午後、BSマンガ夜話の打ち合わせ。『うしおととら』『岸和田博士』はまかせておけ!
現代書林の武藤さん来社。次回作というか語りおろし拙速本の「30独身女」について、今回は全体構成を決める。次回よりやっと語りがスタート。武藤さんから「フロン」の序章〜第一章の進行についていろいろと意見を聞く。和美からリクエストのあった「和美・武藤・岡田三者打ち合わせ」は来週火曜に。いよいよ「人生テスト」の恋愛本準備にはいる。
夜、和美宅で夕食の手伝い。「牛肉を適当に炒めて」と任されたので長ネギ・キャベツ・ニラと塩味で炒める。牛肉を使った炒め物は、やはり野菜と別にしないと加熱しすぎてしまう。仕上げに牡蠣ソースを加えて、ポン酢を振りかける。ジャガイモをサイコロに切ってベーコンとじっくり炒めてホーム・ポテトを作って絹さや・ゆで卵サラダと一緒に食卓に出す。
娘を連れてマンガ喫茶へ行き、『長男の時代』(作・小池一夫 画・川崎のぼる)を見て大笑い。
24日(土)
昼まで寝て、午後から月曜の仕事打ち合わせ。月曜に「通販生活」という雑誌の討論会がある。「青少年有害環境対策基本法とメディアのあり方について」をテーマに自民、民主党の議員と田原総一郎、日本テレビの偉いさんと僕が討論するらしい。さて、こういうテーマの議論でもっともくだらないのが「表現の自由論争」だ。「青少年への悪影響」と「表現の自由」を対立概念として、なんて頭の悪い議論は間違ってもやりたくない。この法案の最大の問題は「まず問題が起きていないし、対処法が不明なのに、規制案だけやたら具体的」という点にある。具体的に述べてみよう。
●青少年の犯罪率は別に増えていない。それどころか割合としては減少している。
●凶悪犯罪の発生率も減っている。
●だから「最近の青少年犯罪の原因は、刺激的なメディアではないか」という仮定自体が成立しない。
●米国では1950年代にコミック、60年代にTVの暴力・性表現に関して大がかりな規制を実施したけど、別に犯罪率低下には繋がらなかった。
●暴力シーンを見せると犯罪率が上昇する、という科学的データは、どこにもない。
以上、5点で充分だろう。まず「青少年犯罪問題」自体が実は存在していない。次にその原因がTV、マンガ、ゲームやアニメという証拠もない。だから規制する意味がない。おまけに昔規制した米国での教訓より、そんな規制をしてもムダ、という結論だけは出ている。
こんなの、メディアに詳しいやつがちょっと調べればわかる資料ばかりだ。これ以上、なにを討論しろと言うのか。あ〜、バカばっか。
三軒茶屋まで「チャーリーズ・エンジェル」の夜間興行を見に行く。噂通り「尻!尻!胸の谷間!尻!キック!尻!谷間!爆発!尻!」の素晴らしい映画だった。
25日(日)
トイフェス当日。僕は9時前に会場に入り、すでに発生してるパニックで額田さんの顔が土気色であるのを発見。会場を見て廻り、ディーラーの方々に感想を聞く。他のイベントより客層の幅が広いのがいいそうだ。
会場と同時に限定品に走るのはいつもと同じ。しかしマイペースで空いているブースを見て廻り、こちらが羨ましくなってしまうようなモノをさっと買う「買い物名人」を何人も発見。弟子入りしたいなぁ。

館内監視用カメラのリモコン

これをいじると…

こんなアップまで拡大できる
海洋堂のブースで宮脇専務の暴言をしばし楽しむ。
「ディズニーにこないだ『海底二万マイル』の商品提案、スタチュー出したらチェック入れてきやがった。お前ら何様のつもりじゃ、もうディズニーとは仕事なんかしたるか〜!」
近くにいたフルタ製菓の取締役とヘタクソ造形師のデスヨ君まで暴言の嵐に巻き込まれて気の毒だった。
安斎レオポンにユニバーサルスタジオ手配の礼を言うついでに京本ネタでいじめる。
「レオポン、前は京本さんのことアニキアニキと慕っていたんちゃうの?」
「あの人はね、アニキ星人だっただけですよ。地球人と違って、お金払ってくれないんですよ」
ワケのわかんない負け惜しみするやつだ。
26日(月)
赤坂の全日空ホテルで『通販生活』の座談会。しかしもう、出席者がものすごい暴言の渦。
田原総一郎 「テレビは規制してはいけない。権力を監視する装置なんだから。でもインターネットはねアナタ、規制すべきですよ!」
水島広子(民主党代議士) 「有害な図書、作品は法で規制すべきです。有害の見分け方?そんなの誰でも見ればわかります!」
これではまともな議論にすらならない。基本路線はこの三本だ。
代議士&青少年連盟
「とにかく有害な表現に法的規制を!」
田原&日テレ部長
「とにかくテレビは法案から外せ!」
岡田&大学教授
「有害表現規制に根拠はない。そんな規制はムダ」
しかしこの議員さん、きっといい人なんだろうけど暴言のマシンガン。「(法案の無意味さを指摘されて)皆さん法律を真面目に考えすぎです。こんな法律があってもいいじゃないですか」「(なぜ自主規制なのに法律で義務化しようとするのか?という問いに)法で決めなければ規制できないじゃないですか」
わかった、この人達は要するに話し合おうと言う気がないんだな。田原総一郎はテレビ業界の利権を守るために発言してるだけだし、議員さんはPTAからの票欲しさに、無意味無利益な法案を通そうとする。あ〜、疲れたよ。
 
今後同じような論争に巻き込まれた人のために一応、僕が立てた論をここにメモしておく。
○1「有害」と騒がれるモノには、実は以下の三種類がある。
A:「有害である」と科学的に証明されているモノ。たとえば煙草、酒、麻薬など。
B:そのものや行為自体には有害性はないけど、扱いによって有害な作用が起きうるモノ。たとえばパチンコなどのギャンブル。
C:有害ではないが「不快感」を与える(可能性のある)モノ。たとえば過激な性表現のマンガや過剰に暴力的なゲームなど。
○2規制が必要なのはAの有害なモノ。Bはメディアでの取り扱いに注意が必要。Cは受け取る側の個人の問題。
○3もしCに規制をかけるなら、同じく「不快を与える(可能性のある)モノ」にも規制をかけるべきだ。たとえば「大阪弁」「クリスマスやバレンタインにいちゃいちゃする男女」「ワキガやチビ・ハゲ・デブ」など。
○4Cへの規制はAのように有害性が証明されているものより遥かに緩やかであるべきで、Bよりもさらに緩いのが順当である。
○5というより、民主党の言い出した「見たくないものを見ない権利」って本気?それともバカ?
あ〜、もう疲れたからいいや。
27日(火)
現代書林の武藤さんと和美の会議。「人生テスト」を恋愛用に特化させる書き下ろし本の打ち合わせだ。さすが学者女同士の打ち合わせは早いし具体的である。色気はないけど。
今夜から渋谷NHKで「BSマンガ夜話」の生放送。『うしおととら』33巻を運ぶだけで一苦労だ。でも番組的には「正しい少年マンガ!」ということで盛り上がって、まずはめでたい。

セット内の温泉
28日(水)
今夜のマンガ夜話は、いしかわじゅん推薦の『純情クレイジーフルーツ』。しかし僕も夏目さんも「どうしてそこまでいしかわじゅんが持ち上げるのかわかんない」という立場で、お説を拝聴させていただく。結論としては、やっぱり僕にはわからなかった。ただ単にいしかわさんが好きだ、というだけじゃないの?他のマンガの時にはもっと容赦なく欠点を指摘するのに。ゲストの横森理香が、ステキなほど下司なおねーさんで、ほんとこの日は休めば良かった。
いやいや、これをきっかけにマンガ夜話の持つ欠陥を考えてみよう。今まで少女マンガに関してはことごとく敗退してきたマンガ夜話。つまりマンガ夜話的アプローチである「なぜ面白いのか?」「マンガ史的に見た意味は?」「どんな新しい表現が開拓されたか?」などは、たしかに少年・青年マンガを語るには面白いかも知れないが、少女マンガを同じ手法で語っても作品を矮小化させる働きしかしないのかな?いや、違う。橋本治などはもっと上手くやってるぞ。つまり出演者の技能不足か?

マンガ夜話の夜食。
ゴーカなおにぎり。
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