「PIPPIN」の初演について
いや~、もうビックリです。2回も書き掛けの記事が消えました。こんなこと初めてです。
気を取り直して、書きます!

「ピピン」初演当時の大変貴重な資料をいただきました。ミュージカルファンにとっても、なじみのない作品だし、作品の内容や音源、その他可能な資料をまとめられたら、別の機会に記事にしようと思います。

プログラムに記載されているプロダクション情報から紹介します。
(写真は妹尾河童氏の装置図より)

'Pippin'  A Musical Comedy
Book by O. Hirson
Music & Lyrics by Stephen Schwartz
Original Production Directed & Choreographed by Bob Fosse




東宝ミュージカル4月特別公演 「ピピン」
訳: 倉橋健、関根勝  訳詞: 滝 弘太郎
演出・振付  堀内 完、古川 清
音楽監督   福田一雄、滝 弘太郎
装置      妹尾河童
衣装      緒方規矩子
照明      吉井澄雄
演奏 東宝オーケストラ
★キャスト★
ピピン      津坂匡章
主席俳優    財津一郎
ファストラーダ 草笛光子
チャールズ   上條恒彦
ルウィス     松橋 登
テオ       水野 哲
キャサリン   今 陽子
バーサ     三益愛子


ほかに友竹正則、三上直也、鹿島とも子、蘭 千子、古沢 勇、山崎登美子、他多数・・・。

少年役で吉岡秀隆が出てました。この頃は圧倒的に子役としては劇団若草・水野哲くんの方が売れていました。でも、吉岡くんカワイイから写真のっけちゃいます♪

津坂匡章は、のちの秋野大作です。当時、東宝がかなり力を入れて、舞台で売り出していました。東宝は、「王様と私」、「屋根の上のヴァイオリン弾き」がヒットし、再演が決定していた頃で、輸入ミュージカル路線を定着、さらに幅広く展開させようと、ブロードウェイで注目される熱い作品(ピピン)に目をつけたのかな~。

プログラムには残念ながら稽古風景のみで、衣装をつけた写真もないし、ステージセットもまだ組まれる前だから図面だけだし、全部モノクロ。セットと照明に関しては、妹尾河童&吉井澄雄という天才二人の組み合わは、うまくケミストリーが働いたのかな~。

気になるのは振付

オリジナルは、トニー賞各賞を獲得しましたが、日本の東宝プロダクションは、ブロードウェイで絶賛されたボブ・フォッシー(プログラム上の表記はフォッセ)の振付を取り入れませんでした。『フォッセ以上のものをねらったつもりだ・・・』とは、演出・振付の堀内完氏の言葉ですが、果たして・・・。



ここにもう一冊、すごい本があります。

1976年の「テアトロ」6月号。ホンモノですよ~。

「ジーザス・クライスト=スーパースター」と「ピピン」について劇評を野口久光氏が書いているのですよ!!JCSについてはこれはまたチャンスがあったら紹介しますけど、かなり絶賛に近いものでした。し、しかしぃ・・・大汗。

これはも~~~私からは何も説明いたしません。
おおっぴらにではなく・笑、どうか、こっーーーそり、読んでくだされ。↓

「初日が重なったのでまず帝劇の「ピピン」を見た。これはミュージカル・コメディとうたっているが、日本でもやった「ヴェローナの恋人たち」と一脈通じる内容をもった若い作者の新しいタイプの作品で、オーソドックスなミュージカル・プレイや娯楽性の強い作品を取り上げてきた東宝としては前向きな作品選択としてその姿勢は望ましい。

とろこが結論をさきにいうと、今回の舞台は、演出、振付、装置、照明、主演者などが「トニー賞」を獲った評判作にしては、演出やキャスティングの弱さが目立っていた。これまで日本でも当たったシリアスなテーマと劇性をもったオーソドックスなミュージカル・プレイや大衆喜劇的な筋立てのミュージカルならば、歌や踊りが少々迫力に欠けていてもストーリーの面白さでエンタテインメントとなり得るが、「ピピン」の場合には、古典劇の形式を借りたファンタスティックな風刺喜劇であり、物語は8世紀のローマを舞台にしていながら、突然話が現代に飛躍したり、楽屋落ちをからませたりする作品だけに演出や演技に特別な才気、センスが要求される。

しかもこの作品の風刺が、泥沼状態にあったベトナム戦争にあくまでこだわっていたアメリカ自国に向けられたものだけに、日本に持ってくるとそこがピンとこないという弱みもある。また主席俳優(狂言廻し役)で実質的には主役にあたるキャラクターを黒人俳優にした狙いも日本版では生かされないことになるのはやむを得ないとしても作品を弱める結果になっている。

若い作者コンビ、ロジャー・O・ハーソンの台本や、スティーブン・シュワルツの曲(作詞・作曲)がそれ自体ずば抜けたものと思えない作品がアメリカでヒットしているのは、想像するに、振付界の逸材で、舞台、映画の「キャバレー」ほかで抜群の演出力をみせてきたボブ・フォワッシーの演出、振りや、毛色の変わった装置、衣裳などが大きく物を言っているようだが、日本版は視聴面では目新しさはあっても演出(堀内完、古川清)、振付(堀内完)が初日の舞台ではまだ十分練り上げられていない状態なのがありありとみえた。

ストーリーよりもシチュエイション、出演者のキャラクター、演技、歌唱などの表現に焦点がおかれ、そのアンサンブル(動きや踊り)、流れが重要なのだが、出演者の多くは役柄を充分掴み、表現できていない。

狂言廻し役の財津一郎は持ち前の器用さを生かして力演しているが、ドラマから浮き上がっているのは演出の責任といえる。ピピンの津坂匡章は、役柄の把握が足りず、歌唱表現に説得力が不足していた。ただチャールズ王の上條恒彦と、ピピンの義母、ファストラーダの草笛光子は役づくり、歌ともに抜群だった。一番困るのが祖母バーサの配役で、この三益愛子はご本人に気の毒なミス・キャストだった。」




by tomokot2 | 2007-04-21 19:58 | 音楽・映画・MUSICAL | Trackback | Comments(9)
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Commented at 2007-04-21 22:17 x
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Commented by tomokot2 at 2007-04-21 22:45
鍵コメ04-21 22:17様

おかげさまで無事に貴重な資料をアップすることができました!
写真も追加してみました。
そーなんです、消えちゃって・泣、でも頑張ってみました。
また、次々出していきまーーーーす、ありがとうございます!
Commented at 2007-04-22 01:13 x
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Commented by saffy114 at 2007-04-22 10:02
記事が消えると、ほんとにショックですよね~。貴重な日本初演版の情報を読ませていただいて本当にありがとうございます。
野口氏の「演出や演技に特別な才気、センスが要求される」という文、その通りだと思います。今年のプロダクション、頑張って欲しいですね。
Commented by tomokot2 at 2007-04-22 10:18
鍵コメ04-22 01:13様

ありがとうございます!次は91年のジーザス、いってみよう~と思います♪
Commented by tomokot2 at 2007-04-22 10:22
saffyさん

読んでいただいてありがとうございます。
ボブ・フォッシーの振付を再現っていうことは望めないのかなという気がしています。。。

>今年のプロダクション、頑張って欲しいですね

はい。私も、とにかくいい舞台にして、としか言いようがありませ~ん。。。
Commented at 2007-04-22 16:20 x
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Commented by tomokot2 at 2007-04-22 16:27
鍵コメ04-22 16:20さん

もぅどんどん教えてくださ~~い。古い記事でもあとから気がつけば訂正したりしてます。ほかにも色々ありましたので、直しています(^^;)
Commented at 2007-04-22 16:34 x
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