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2008/07/11

日本初のオタクは誰か?

オタクはすでに死んでいる (新潮新書 258) オタクはすでに死んでいる (新潮新書 258)
価格:¥ 714(税込)
発売日:2008-04-15

意外な反響で、アレです、月刊OUTの件なんだが、表向きの歴史についてはコチラにあります。みのり書房より、1977年5月号から1995年5月号までの18年間発行された雑誌で、当初は「明日はオトナになるボクたちのマガジン」として大学生向け総合誌をねらい創刊されたわけだ。まぁ、マイナー系カルチャー雑誌みたいな位置付けだったんだが、版元のみのり書房ではこの時期、他にも艶楽書館なんていう「カストリ主義」の雑誌なんぞ作っている。どっちも、漫画やアニメとは何の関係もないです。

そもそもみのり書房という会社は親会社が紙屋で、たしか朝日紙業とかいったな、出版社というのは儲からない商売なので、たいていスポンサーがいます。印刷屋、製版屋、紙屋なんてぇのが多いです。官能劇画、漫画スカットというベタなエロ劇画誌を作っていて、数万部程度は売れてました。ソレはそんなに儲からないんだが、まぁ、何とか続けられるレベル。で、何を考えたのか、いきなり艶楽書館とOUTという二誌を同時に出し始めるんだが、艶楽書館は売れなくて6号で潰れます。OUTの方も売れなかったんだが、ここで




第2号の1977年6月号で「宇宙戦艦ヤマト」を特集したところ反響が大きく異例の増刷を行いました。当時、アニメ専門誌は「季刊ファントーシュ」がありましたがマイナーで、大学生・高校生が読めるアニメ特集をする雑誌は「マンガ少年」くらいだったので、以後マンガ、アニメ、SFファンが読者として増えていきます。それに応えるスタッフも、K(現ファンロード編集長)、聖咲奇、小牧雅伸、伊藤秀明など充実していました。OUTは、ヤマト乗組員に褌をはかせたり、いたはししゅうほうのマンガ「ペイルココーン」やうめぷろだくしょんなどのパロディなどにより「変態雑誌」と呼ばれるようになります。読者コーナー「FROMお茶の水」も人気が出てきます。しかし、Bは1977年11月号で編集部を去ります。
突然、宇宙戦艦ヤマトの特集なんぞやるわけだ。放送が終わって、まだ人気が沸騰する前で、まだ誰も注目してなかったんだが、コレがマニアの注目を浴びて
雑誌なのに増刷するという騒ぎになる。

まぁ、こういう話には必ず仕掛け人がいるわけで、それが上記の文章に出てくるKという人物なんだが、当初、みのり書房で漫画・アニメに詳しいのは彼1人だったわけだ。エロ劇画の編集者はマニアではないからね。で、せっかくヤマトで当てたのに、彼は半年もしないで編集部を去ってしまう。もっとも彼が抜ける頃には、マニアっぽい編集者が何人も入社していたので何とか続いたんだが、何で彼が抜けたのかは、おいら知りません。ちなみに、この当時のみのり書房編集者はみんなイニシャルで呼ばれてました。おいらの場合は「Q」です。

で、おいらなんだが、宇宙戦艦ヤマトとは何の関係もなく、官能劇画の編集部にいたわけだ。大学4年でした。大股開きのエロ劇画のタイトルに脳味噌振り絞っているおいらの席の後ろで、K氏が連れてきた若手編集者がワイワイ楽しそうにOUTを作っていたんだが、おいらはそれを横目に、せっせと写植を貼ったりしてました。セロテープ使って片手で貼る、なんていうワザ持ってますw で、K氏はめったに出社しないんだが、紙のショッピングバッグを持っていて、そこから色んなモノを出して自慢するわけだ。イギリスの妖精の出てくる絵本とか。で延々と蘊蓄を語るヤツなんだが、冷笑的で他人をバカにしたような口ぶりで嫌われていたな。

で、このオトコの口癖が「オタク」だった。話をしていて相手の事を「オタク、オタク」と呼ぶわけだ。OUTの編集部というのは何せOUTの編集部なので、女子中学生とかしょっちゅう出入りしているんだが、女の子つかまえてせっせとそういうのを見せて自慢して「オタク、これ知ってる? ほら」と連発する。で、みんな、彼の事を陰で「オタク」と呼んでいたわけだ。

やがて、おいらは月刊漫画誌で「peke」というのを作るんだが、表紙がめるへんめーかーという少女漫画家で、中身が日野日出志やら吾妻ひでおとか、滅茶苦茶なラインナップの雑誌でした。あんまり売れなくてすぐに潰れるんだが、コアなマニアが多かったらしく、廃刊号に「止めないで」という当初が数千通寄せられたらしい。コレは「コミック・アゲイン」と名前を変えてしばらく続くんだが、そちらはおいら、ほとんど関係してないです。その頃には自販機ポルノの出版社に移ってエロ本撮ってました。で、コミケ米澤とか東京おとなクラブの連中とかはみんな仲間ウチで、そこら辺の話もみんな共有しているわけだ。なので、「オタク」という言葉の起源にはちゃんと特定の個人がいて、当初からマニアの厭らしさを象徴するような意味合いが含まれていた、というわけだな。

コメント

ポパイとビニ本とヤンジャンと朝日ジャーナルが必読本だったので知りませんでしたw

なるほど、
オタクについてのwikiは訂正補足されるべきですね。
wikiにはたしかオタクの起源を、
仲間同士で「オタクは」、「オタクの」と呼び合ってたのが起源、
あるいはアニメ「マクロス」で主人公の口癖の「オタクは」から、
と書いてたと思う。

「宇宙戦艦ヤマト」は企画案の段階では戦艦ではなく、
巨大な岩盤を改造した宇宙船という設定だったと思う。
なにかでそのイラスト見た覚えがあります。
なお初回放送は低視聴率のため、
予定回数の2クールをこなさずに、打ち切り終了。
そんで終盤、話の展開が妙に駆け足だったみたい。

イニシャルQですね。わかります。

宇宙戦艦ヤマトは、リアル厨房で見てますたw
日曜の7時とか7時半だったかな??
イスカンダルまでが話の展開が遅いのに着いたとたんに帰りは早かったですww

pekeに噛んでたんですか。懐かしい。内山亜紀が別の名前で描いてた
蜘蛛人間のエロSFとか、客楽酔ってペンネームの人のSFとか
憶えています。

宇宙戦艦ヤマトとアルプスの少女ハイジは表裏で19:30からでした
ヤマトの初回TVシリーズの切迫感が大好物です
ニッポン放送のラジオドラマも録音して聞き倒したものです
そのあと、スネークマンショウとYMOに傾倒して行きます
だから、その後の金儲け主義にはうんざりです
なぜ、死んだはずの沖田艦長が古代におとーさん呼ばわりされるんですか
いずれにしても、欲得に塗れた作品だったことが
裁判確定後の挑戦玉打ちでの二次利用などではっきりしてしまいました
ああ もうがっかりです

でも、そんな私だからSTARTREK VOYAGERは大好物です
ヴォイジャーはCGが実に素晴らしい「渡る世間」です

「客楽酔」ってのは、まんだらけの社長やってる古川益三だよ。
http://www.geocities.jp/harasawa1964/furukawalist.html

おいら、pekeに噛んでたというより、編集長だったんだよ。

孫さん長し素麺ですか

私達も押しかけても良いのでしょうか?(^0_0^)

うわ、イニシャルQ氏でもありましたか。
「peke」とかなんだか懐かしさいっぱいです

元祖おたくがいたのですね。それを今ここで知って、なんだかすがすがしい気分になりました。

「噛んでた」などと書いてすいません。客楽酔がまんだらけ社長だったとは。
野次馬さんがカリ厨だったというのにも驚いたんですが、こっちも驚き。
おもろいネタが読めて嬉しいです。

片田舎でニキビ面の中学生やってたころを思い出しました。

久しぶりにブリッコを出して見ようと思ったら何処をどう探しても見あたらなかった・・・・orz

宇宙戦艦ヤマトなつかしいなあ。
1回見たけど、猿の軍団のほうが面白かった。

>>海DQNさん、その日暮らしさん、けろよんさん、
ここ、ほぼ同世代も多いみたいで(w
自分も初回の「宇宙戦艦ヤマト」は一回か二回しか観てなくて。
弟たちと「猿の軍団」観てました。
あれ最終回がちょっと哀しかった、

「日本沈没」(実写)や「ルパン三世」もこの頃でしたっけ。

そういえば、ちょうど1980年頃
いつも少女漫画を小脇に抱えて大学に通っていた同級生(♂)の口癖も「お宅さあ〜」でしたね。差し入れを持って、あしげしく月刊OUT編集部に通ってたっけ。

まだオタクやロリコンという言葉が社会に認知されておらず、
実習で志願して12歳少女の虫垂炎手術に立ち会って気絶したりしていた彼は、単なる変態さんと扱われておりました。
そんな彼も、今では立派な産婦人科医になっているはずです、
多分...。

「宇宙戦艦ヤマト」は当時、東京へ出張した親に頼んで豊田有恒原案、石津嵐作の小説本を買ってきてもらって読んだところ、小説版の方は放射能汚染された地球で人類は自らの肉体改造をすることにより生き延びなければならないという結末になっておりショックでしたw

当時、あの作品は音楽やBGM(ストーリー展開も?)などを日本人の好みに合うよう特に意識して作られたという記事を新聞か何かで読んだ記憶があります。

ほぉぉ!これまた懐かしいお名前が沢山。
面白い話をありがとうございます。

なんという貴重な秘話…
日本のオタ文化誕生の瞬間からオタク文化を
見続けてきた野次馬アニキはオタク界の始祖鳥的存在ですw

私のような若輩者のにわかオタの
魂を揺さぶるエントリーでした

ちょっと気になってwikiで調べたんですが
けんみんテレビは1978年~ 静岡第一テレビは1979年~ ということで、静岡県では当時の民放はTBSとテレビ静岡だけで、それぞれ猿とハイヂをやってははずで本放送の「宇宙戦艦ヤマト」はやってなかったんですよね。
ヤマトというと夕方の再放送というイメージしかなかったもので…

再放送というと「怪奇大作戦」の第24話『狂鬼人間』が静岡県では放送されてたそうで…小生見逃してましたが。

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