和歌山県串本町で2005年9月、中学1年生だった真田優一さん(当時13歳)が車にはねられ死亡した交通事故で、搬送先の国保直営串本病院が10日、病院を運営する町が医師の不適切な対応を認め、遺族と和解することで合意したことを受けて、記者会見を開いた。阪本繁院長は「担当医は、大丈夫だと安易に判断した。防げたミスだった」と謝罪し、再発防止に努めるとした。 会見で阪本院長は、搬送時のエックス線やコンピューター断層撮影(CT)による検査の後、状態が変わってから、同じ検査や超音波検査などをしていれば助かった可能性があったと説明。同病院では夜間や休診日、技師は院内で待機しているのではなく、呼び出しになっていることから、夜間などでの緊急態勢が完全でないとした。 訴状などによると、真田さんは2005年9月19日午後4時半ごろ、串本町の交差点を自転車で走行中、町内の無職男性(70)運転の乗用車と衝突。同病院に運ばれたが、20日午後8時すぎ、脾臓(ひぞう)損傷による出血性ショックで死亡した。母親の寿美さん(40)=串本町串本=が、病院の診察が不十分だったなどとして、病院を運営する町と男性を相手取り、計約8000万円の損害賠償を求めて訴訟を起こした。町と遺族は15日に和歌山地裁で和解する見通し。 病院側と担当医は、近く真田さん方を訪れ、正式に謝罪する意向。 串本町議会は10日開会の臨時会で、和解案と損害賠償金7000万円を計上した病院事業会計補正予算案を可決した。