2008-07-09
東方儚月抄が迷走しているみたい。
東方儚月抄といえば永夜抄の続きものとして三誌メディアミックスなどという大技で連載している話であることは
今更説明するまでもない。
ところが東方界隈色々見てみると、まるで儚月抄をなかったことにしているような動きが見えてならない。
毎回取り上げているところといえば、無限旋律
さんかチェキ空ブログくらいなものではないだろうか。
東方の新作地霊殿をバンドルしたキャラ☆メルの感想文もろくにアップロードされてない。
その理由は非常に厳しい言い方をすれば、思考停止か見てないふりかそのどちらかだと思う。
儚月抄はとてもクセがある。 一般的な伏線も儚月抄では通用しない。
論理的に考えれば考えるほど破綻する。
これはポストモダン的な思考の読者、二次創作者にとっては耐え難いのではないかと思う。
東方の作者であるZUN氏を批判してはいけないのなら沈黙するしかない。
それが東方界隈の答えであると思う。
もちろんこのフォーマットはファンタジー小説の文法からすれば正しいものだ。
だけど、ここ数回の儚月抄は仕切り直しをしようとする向きが多々見られる。
バトルものへの移行あたりが好例だろう。
儚月抄がこれほど妙なことになっているのは三誌合同企画でありながら伏線の張り合いによる
知的パズルではないことにあると思う。
読者が期待していたのはどちらかというと、バトル系か知的ゲーム系かどちらかだったのだろう。
ところが実際のところは、ストーリーが遅々として進まず、いつまでも話が展開しないものだった。
こんな状態でバトルものに移行したところでさらに展開が遅くなって、
最初の話すら忘れてしまうのではないだろうか。
そもそも何故儚月抄はストーリーのセオリーを無視してまで伏線を回収しないのか
小説版、漫画版、4コマ版 そのすべてにおいて説明不足だ。
三つは微妙にリンクしているものの、すべてを説明するには明らかに不足している。
たとえば漫画版12話で女神を封じる祇園様の力と言われても皆がピンとこないのが好例だろう。
しかし用語類を調べることでそれが何を意味しているのかを理解することはできる。
このやり方をやって成功したのは、新世紀エヴァンゲリオンだろう。
このアニメはたくさんの用語やファクターがちりばめられそれらの意味を皆で
調べることでアニメの説明不足を補っていた。
エヴァンゲリオンの時代、各出版社から所謂「謎」本が大量に出版されたこともある。
東方幻想板の儚月抄スレッドを見れば、儚月抄が本当にやりたかったことの一端を
見ることができるだろう。読者が物語を補完するストーリーであることは明らかだ。
作者であるZUN氏がエヴァンゲリオン直撃世代であることも理由の一つだ。
どちらも物語の着地点を決めないままストーリーを進めていることだ。
もし全体的なプロット漬けを徹底的に行っていれば、第一話からいきなり月に攻め込むという
話の前にキャラの紹介話を数話入れるだろうし、攻め込むと決まってからのゆっくりとした
展開にならなかったと考えられる。明らかに行き当たりばったりでストーリーを考えている。
実はエヴァンゲリオンもまた最後の展開を決めないままにアニメをオンエアしてしまった。
この辺の事情は単行本一巻あとがきに書かれている。
もう一つ東方の場合は二次創作で大きくなったことを忘れてはならない。
多分最初の目論見では、説明不足部分に二次創作が入り込んで儚月抄を都度方向転換しようと
考えていたのではないかとも考えられる。
しかし実際は二次創作はあまり盛り上がらず、キャラの記号化はむしろ後発である緋想天や
地霊殿のほうがはるかに進行している。
これはある意味仕方がない。 二次創作者にとってストーリーの展開によっては致命的な
矛盾が生じる所謂賞味期限切れはなんとしても避けたいところだからだ。
説明不足部分は二次創作を招き入れるどころか逆の効果になってしまったといえる。
もちろん世界観を調べ上げてそこから話を構築すれば二次創作は不可能ではないが
現代では、必要なものはキャラクターと劇中での十分な説明というのが実情である。
岡田斗司夫が「オタクは死んだ」と言って話題になったが、世界観を知るために
わざわざ物を調べようと考える人が減ったとも言える。
今の東方ファンにとって儚月抄はハードルが高すぎるのではないだろうか。
いずれにせよこのままでは儚月抄は「なかったこと」にされる可能性が高い。
東方という話題性があり読者も多く見込めながら、今の結果は関係者にとっては
あまり良い結果に見えないのでないだろうか。
私は周囲にもうちょっと儚月抄で遊んでもいいのでないかと言いたい。
そして本編にはもう少し説明量を増やさないといけないと考えるのである。
2008-06-18
MGS4に見る日本ゲーム業界の困ったところ
ゆっくりした結果がこれだよって感じで
あっという間に二週間経ってしまったよ。
秋葉原の事についてはあまりコメントしたくありません。理由は察してください。
メタルギアソリッド4が発売しましていい感じで売れ残っております。
いや、メタルギアシリーズから見た場合、大成功なのですがPS3を牽引するという役目を背負わされて
あっぷあっぷしているという感じです。
メタルギアオンラインまでわざわざ作って、中古対策をやっているのが何とも甲斐甲斐しいですね。
でも今回の話はそんな話をしたいわけじゃない。
このメタルギアを見ると色々と日本のゲーム開発現場の病理が見えてしまう。
まず費用。 単純比較するのはどうかと思うけどそれでも、欧米のことXBOX360で人気を果たした
ギアーズオブウォーと比較したらなんと5倍近くも費用をかけている。
普通億単位でそんな数十億なんてお金を動かしたらいくら体力がある会社だって一撃でイチコロだ。
ここまでは2ちゃんねる掲示板の話。
問題は、もっと別。
メタルギアになんか違う夢を見ちゃっている人がすごく多かったって事実なんだよね。
それはユーザー側じゃない なんと開発側のほうなんだ。
ゲームを開発している人たちの中にテクノロジ厨と呼ばれる人がいる。
彼らは確かに実力はあるし、すごい映像を作って皆を楽しませてくれる。
これが高じすぎて、色々と無茶なことをやり出すのがテクノロジ厨。
ところがですね、最高のテクノロジが得られる筈のゲームデベロッパーカンファレンスなるゲーム開発者の学会には
日本人の姿がいない。 かろうじてIGDAのカンファレンスに出るくらい。
ちょっと待てよ最高の技術が欲しいんじゃなかったのかよと、ある人に尋ねたら英語がわからんって返された。
まあそりゃそうだ。
でもさ、そんなことを言ったら3DCGの世界なんか最初から英語の世界だったさ。
先人はそういうのを乗り越えて今に至ったんだ。
とにかく今のゲーム業界はXBOXにしてもPS3にしても高性能ゲーム機はみんな不景気なんですわ
で、WiiとかDSとかでゲームを作ると、こういうテクノロジ厨が言うんですよ。
「こんな低性能ハードで作ったら日本はもっと遅れてしまう」
「低性能なDSで作っても満足なものはできない」
そんなモチベーションでゲームを作っていたらそりゃプロジェクトが低空飛行するのは当たり前なんですよ。
で、テクノロジ厨はこういうんですよ。
あたしゃ目が点になりましたよ。
2ちゃんねるのゲームハード板をご覧なさい。
素でそう言う人いますから、私は最初煽りだと思っていたんですよ。
そしたら彼らは本気だったんですよ。
中高生だとも思いましたよ。
でも書いている人は歴とした大人なのです。
私が思うにすべてにおいて満足な環境を与えられたら、そのプロジェクトは資金ショートを起こします。
だって満足って事は削れる部分も余裕を持たせすぎたってことでしょ。
要は無駄なんですよ。
で、やれ新技術研究だと称して会社から金を吸い出したら
欧米よりもアホみたいに金がかかっちゃった。 ってわけ
ゆっくり研究した結果がこれだよ
で、実際に実装したらパフォーマンスがでなくて、それを引きはがしているんですよ
もうね アホかと。
こんな調子じゃ日本は欧米に追いつくどころか引き離される一方でしょ。
だって金使いすぎているんだもん。
どうしてコスト意識を持たないのかそれがどうしても疑問なのよ。
なんで馬鹿高くなったのかってね。
たぶん気がついた頃にはどっかのハードが撤退会見でもやりそうでしょうねえ。
なんといいますか、目を覚ましてくれ って言いたいですねえ。
2008-06-06
■
ここに書いてある事ってすごい適当でおまけに独りよがりな文章で構成されてます。
本気になって怒ったりされますとかなり困ります。
※欄の方VIP掲示板のたまご氏ですかね。
聡明な方とお見受けしますけど一度話をしてみたいものですねえ。
音屋 ねえ
リクエストがあったのでこちら。
音屋って東方ジャンルで音楽アレンジを出している人の総称。
2ちゃんねるゲームサロン板、東方幻想板など各種コミュニティでもしばしば軋轢を生んでいる。
でもね、音屋叩きの根っこって儲けているからじゃなくて、単にジャンル違いの僻みや嫉妬じゃないのって話。
東方ジャンルって元々シューティングゲーム好きが集まっていたから、仲間内の連帯感がとても強かった。
シューティングゲームは失礼な言い方をすれば黄昏のジャンルで、東方の制作者だって潰れそうなジャンルの最後のあだ花の
つもりで東方紅魔郷を作ったって話もある。
そこに、音楽のアレンジを行う所謂音屋って方が入ってきた。
彼らは音楽という世界の中で交友関係もオープンだった。 コンサートをやっていたからイベントをやるノウハウもある。
小さな世界で連帯していた既存の東方ファンはどうなったかって言うと、最初はいい曲だなあと思っていたけど
だんだんそのオープンすぎる態度が目についてきた。
交友関係もどんどん広げて、どんどん階層を駆け上がるから嫉妬が先に来てしまう。
CDの原価率もあって音屋は儲けすぎるって印象も手伝ってバッシングにつながった。
それがニコニコ動画における一連の展開で顕在化しちゃったわけ。
音屋の人たちだってニコニコのことをよく思っていた訳じゃない。 勝手にアップロードされてしまったいわば被害者だった。
でもそれが元で人気がでた。 人気が出たら人気が出る元になったニコニコを否定することができなくなった。
否定したらせっかくついた自分のファンが逃げてしまう。
ここで勘違いしちゃいけないことは音屋さんだって被害者だったってこと。 過去形にしたのはニコニコを宣伝場所と
思ってそこで販促活動を始めちゃった人が現れたからなんですね。
ところがですね。このニコニコって劇薬なんです。 一度人気が出ると、今度は人気を維持しないといけなくなる。
維持するためには新しいことをどんどん続けないといけない。
娯楽に永遠は存在しないって言うのは任天堂の山内会長の言葉でしたっけね。
事実、ニコニコ初期ではやった陰陽師なんか半年持たないし、恐怖の館も二次創作が出たのに数ヶ月持たなかった。
あっという間に消費されて、今までの蓄積なんかみんな吹っ飛んでしまう。
本来自分のペースで楽しむのが同人なのにいつの間にかニコニコにあわせないといけなくなった。
さあ大変だ。 ってのが今の状況。 できれば今一度同人の醍醐味に帰って欲しいと思うばかり。
結局のところ音屋の皆さんも色々と正念場にたたされている訳ですよ。
儲けている音屋も儲かっていない人もいろいろと肩身狭いのではないでしょうかね。
そしてもっと危ないのは権利関係。同人のぬるま湯にどっぷりつかって悪い奴にだまされている音屋さんが続出している。
イオシスもコピーライト周りでさんざ叩かれたけど、やっぱり弁護士さん雇うなり相談するくらいはしたほうがいい。
自衛しなさいってこと。 儲かると思って寄ってくる人はファンやアンチだけじゃない。
もっと悪い人がいるってことを認識した方がいいんじゃないかな。
音屋の皆様方無理をしないでマイペースで創作活動を続けてくださいまし。
2008-06-04
廃人同士の醜い争い
こっそり書いたこのエントリなんですが
すでに気づいた身内もおりましてちょっとした反響を頂いております。
なんとも紅顔の至りでございます。
で、今回の話なんですが。
東方界隈がネトゲにそっくりという話の続きです。
先日ネトゲ運営をやっている人と話をしたのですが、そこで行われているやりとりと
東方界隈のやりとりひいては同人界隈のやり取りは驚くほど似ているといいますか
もはやフラクタル図形のような様相を呈しております。
大体黒い話になりますと、金と女に集約される点もそっくりです。
こうなる理由はいったい何でしょうか?
これは、同人とネトゲの中毒性が「自己顕示欲の達成」によるものだからです。
作品を発表すること自体自己顕示の現れですからある意味当然のことです。
ネトゲは長時間プレイか多少の現金でそれを実現するのですが
同人界隈も大体そんな感じです。
さて、市場という名のリソースは限られてますから
そのリソースをどこまで吸い取れるかって話になってくるのですが
そこで自分たちにできない手段でリソースを吸い出す者が現れますと
この人たちをどうにかして排除しようとします。
本当なら排除するより仲間にしたほうが良いに決まっているのですが、
な ぜ か
追い出しにかかります。
これ実は、同人界隈に居場所を見つけちゃってそこに閉じこもっちゃっているからなのです。
東方はあくまで自分の居場所を確保するための手段ってやつです。
この辺もネトゲ的ですね。 自分の居場所のために界隈にいる。
こういうタイプの人は自分の立場が危うくなるような能力を持つ人を徹底的に攻撃する傾向があります。
居場所を見出しちゃった型廃人ですとこれがエスカレートしまして
カプ談義やらいろいろなところに顔を出しては、おれの都合のいい設定にしろと喚き散らします。
作品を作れば本当はその目的も実現できるのですが、喚き散らしたほうがはるかにエネルギーを消耗しないので
そっちに走ります。
この辺の事情を運動家型ネトゲプレイヤーを例に話をしようと思いますが
今回はこれまで。
2008-06-02
東方界隈はネトゲそっくり?
こんにちは、某日記シリーズを書いている困った人です。
ここでは個人的に考えていることを雑記的に適当に書きます。
今回のお題は
東方界隈とネトゲです。
ニコニコ動画にも持ち上げられ今年の東方同人イベント「例大祭」は5万人の動員を実現しました。
ここまで大きなコミュニティを形成するとあちらこちらで色々な歪みやら何やらが起こる訳なんですが
個人的な経験を踏まえながら、色々と分析してみようという企画です。
最近、東方界隈は閉鎖的というエントリが話題になりましたがその閉鎖性は何処から来るのか
にわかを排除しようと考える理由をちょっと違う視点で考えてみましょう。
すでに別の場所でも書いたことですが
東方界隈は実にネトゲそっくりであると考えています。
その根拠は、階層化とコミュニティの細分化です。
東方界隈だけでなく大きくなったコミュニティには必ずと言っていいほど階層化が発生します。
東方の場合は二次創作を行うもの、単にゲームで遊んでいるもの、ニコニコ動画を見て楽しんでいる者
色々いることでしょう。
ネトゲでもそうした階層化が発生します。 たとえば長時間プレイしている廃人と呼ばれる人と
長時間プレイすることができない一般プレイヤーです。
東方界隈が小さかったとき、そのコンテンツリソースは二次創作を含めても大して大きくありませんでした。
皆が同じものを共有することができたと言えます。
しかし、界隈が巨大化するに従ってリソースは加速度的に増えていきます。
そうすると何が起こるのか? 淘汰と階層化が生まれます。
階層化とは何かといいますと、要するに「格」というやつです。
たとえば東方では二次設定が数多く生まれていますが、それら二次設定を決めているのは
いわゆる上位ランクにいる人たちです。 彼らは東方にどっぷり浸かっていている
いわば「廃人」です。
他の人がどんな二次ネタを作ったとしても彼らが動かない限りは、そのネタが定着することはありません。
それらのネタが定着するかどうか、定着させたくないとか云々で方々で議論まで起こっています。
もちろんこれら議論は結実することはありません。
なぜなら、最終的にそのネタを利用するかどうかは「廃人」たちにかかっていて
掲示板で議論している人たちの意見なんか一切関係がないからです。
ここで起こるのが嫉妬と、やっかみの世界。
自分たちも二次設定をつくりたい。でもそれを許してもらえない。
そこにお金の話が加わって界隈はいつもドロドロしてしまいます。
それがいけないことなのかって?
ちがいます
それがあたりまえなのです。
ところがそのことを認めたくない人が多いのですね。
だから彼らにはこう言うしかない。
文句があるなら対抗するだけの強度をもったコンテンツを生むしかない
そういうわけですね。
はてこの世界、どこかで見たことはないですか?
まさにネトゲ界隈そのものなのです。 廃人によるリソースの独占
自分たちも廃人と同じような利益を享受したいけどそこまでどっぷり浸かりたくない。
じゃあ自分も廃人になりますか?って話になりますよね。
それは嫌だとなると今度は運営に文句を言い出します。
東方地霊殿でサポートキャラに文句を言う人はそういう人種です。
そんなの作者の勝手でしょう。というわけですね。
このようにある程度大きなコミュニティを構築すると必ず階層化が発生します。
階層化しちゃったら、突破するには強力なコンテンツを持って対抗すればいい。
次回は廃人達になりきれない中途半端な廃人の立場でちょっとこの話を掘り下げてみましょう。