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自分の発言にケジメをつけろ
             下関・逃げ回る嶋倉教育長    2008年7月7日付

 下関市の嶋倉剛教育長が朝鮮半島への植民地支配について「歴史的事実に反する」と断固主張している問題をめぐって、下関市民のなかでは「偏向教育長は早くやめろ」の声が高まっている。北、南を問わず在日朝鮮人社会の逆鱗にも触れている。エラそうに発言したのち、嶋倉氏は発言の撤回と謝罪を求めて連日訪れている山口朝鮮学園の保護者や関係者を避けて逃げ回っており、庁舎内のどこかに潜伏している。市教委には抗議のFAXがひっきりなしに入っている。教育長周辺は対応に奔走して日常業務どころでない。着任からわずか2カ月。天下り文科省キャリアの暴走で、下関の教育行政が混乱している。

 右翼に愛される教育長
 市内では、報道を目にした市民のなかで話題が沸騰している。「新しい教育長はバカじゃないのか?」という意見が大半。
 建設業を営んでいる50代の男性は「いったいどんな男なのか、直接見てみたい」といった。「下関は在日がたくさん住んでいる。この人たちがどんな苦労をしてきたか、みんなは見たり聞いたりして理解している。キャリアといってもバカな発言にもほどがある。“政府の見解を尊重します”で終わりになるわけがない。ちゃんと“ごめんなさい”がいえないと下関にはおれないよ」といった。
 市内在住で北九州の中学校で教員をしている女性は「北九州も何代か前まで文部省キャリアが教育長をやっていた。全国でも真っ先に文部省推奨の施策がやられたり、今の下関とそっくり。今回の発言は在日の人たちだけの問題ではない。国の見解を超えて“植民地支配ではない”というような人物が教育長に座り続けるのはよくない。決して小さな問題ではないし、やめてもらわないと困る」と語った。
 市内の中学校で管理職をしている男性は、「歴史的事実に反する」発言を聞いてあきれ果てていた。「44歳と若いけれど、教育長になる器だったのだろうか。連れてきた人間の責任も問われるべきだと思う。戦争やかつての植民地支配について馴染みがない年代なのだろうが、国も謝罪している事実を“違う”と否定するのだから、よほどの信念と見える。学校教育は人間を育成する場。自分が誤ったことをすれば、誤りを認めてケジメをつけるのが筋。逃げ回っていると聞いて、こちらが情けない気持ちになる。だれかが再教育しないといけないのではないか」と語った。
 市職員のなかでは「早く本人が面会すればすむことなのに…」「自分の言動には自分でケジメをつけろ」と語られている。年配職員のあいだでは、約20年前の万景峰号入港をめぐる激しい攻防を思い出す人も少なくない。市教委や5階市長室前で抗議行動がおこなわれる様子を見に行く人もいる。
 50代男性職員の1人は「文科省では“植民地支配ではない”が常識なんだろうか。下関まで来て、なぜあんな発言をしたのか理解できない。しかも在日朝鮮人の目の前で主張する気が知れない。飲み屋で雑談しているのとは訳が違う。せっかく釜山とも姉妹都市を結んで友好を大切にしてきたのに関係を壊しかねない。総連も民団も怒って当然だ。右翼から賛美される教育長など見たことがない。下関にとってマイナス」と話していた。
 「嶋倉教育長は“教育”ではなく“政治”をしに下関に来たのか?」という人もいる。

 数百人規模の抗議に発展か
 山口朝鮮学園の保護者や関係者らは、発言撤回と謝罪を求めて連日行動している。4日には約40人が市役所に足を運んだ。市教委の担当者からは「教育長は現時点では、賛成派とも反対派とも面会しない」という見解を聞かされ、前日と同様に問答が繰り広げられた。市教委も秘書課も、応対は七階の物置小屋のような会議室に押し込める手法で、「お聞きした内容を伝えます」とオウム返しをするばかり。ラチがあかないことから、会議室を出て市教委に押しかける場面もあった。
 抗議行動は7日からさらに熱を帯びようとしており、対応如何によっては数百人規模の行動に広がる可能性がある。下関をはじめ県下や九州の在日同胞にも呼びかけられている。嶋倉教育長は「政府見解を尊重する」といったのが幕引きで、堂堂と人前に出て自分が説明する勇気もない。自分で自分の発言にケジメをつけることができない。応援団の右翼団体は6日、街宣車5〜6台で「嶋倉教育長支持」を叫んで市内をパレードした。

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