大学の将来計画に意見を書きました。それに対するQ&Aが公開されました。但し、それは学内限定です。だから、その回答を外に公表することはできません。しかし、大学自治がなくなったわけではない以上、私が書いた意見(この意見は、私がこの大学で発する最後の意見になると思っていました)を私が公表する自由はあると思います。
以下のメールがそうです。ホームページは終了したと書いて数ヶ月経ちましたので、誰もみないでしょうが、7月末までの期間限定付きで載せておきます。
Shuji Yasui さんは書きました:
>Date: Thu, 15 May 2008 10:56:52 +0900
>
> 私は、経済学部の安井修二です。
>
> 意見を求めているのが、学長なのか、香川大学将来計画検討委員会なのかよくわかりませ
>んので、この意見が誰に読まれるのか(読まれないのか)がよくわかりません。そこをもう
>少し具体的に書いていただいた方が、こちらも対応しやすかったと思われます。
> 私は、現在、経済学部に所属していますが、今年をもって退職しますので、この将来計画
>に関わらない人間です。その意味では、発言は控えるべきだと考えますが、いままで私が
>やってきたこととも関わるため、少し感想を書かせていただきます。
> 経済学部に所属する人間としてみますと、この将来計画は、二つの大きな変化を作り出す
>ものと思われます。
>1.地域社会システム学科の解体
> 私は地域社会システム学科を創設した人間の一人ですが、私が退職していくときに、この
>学科の解体が決まっていくということになりそうです。まさに、感無量です。
> といって、誤解しないでいただきたいのですが、私は、そのことに反対しているのではあ
>りません。大学設置基準の大綱化の嵐を乗りこえるために、無理をして、経済学部内に新し
>い学科を創設し、そこに教育学部から15名ほどの先生を向かい入れました。
> もともと無理があったため、トラブルも多かったのですが、創設した人間の一人として、
>何とか頑張ってやってきました。ここに来て、その仕事も終わりになるわけですが、無理を
>重ねて何とか体面を保つよりはいいのではないかといまは考えています。
>2.経済学部のメンバーと地域マネジメント研究科のメンバーの統一
> 教員がどこかの学系に入るわけで、いまの学系では事実上二つの組織は同じ学系に入るこ
>とになると思われます(法学部とロースクールもそうでしょう)。
> 地域マネジメント研究科は、無理をして創られたものです。外からみていると、無理な体
>制を個人的な努力で何とか維持しているようにしかみえません。
> 地域マネジメント研究科も、地域社会システム学科と同様で、もうそろそろそうした無理
>は解消して、経済学部と同じような学問研究を取り扱っている以上、学系としては一体化し
>た方がいいと私は思っています。
> そもそも学生定員30名で、2学年しかない地域マネジメント研究科に、あれほどの教員数が
>必要でしょうか。経済学部は学生定員300名で、4学年あり、その上に大学院もあります。そ
>れで、経済学部の教員数は、60名前後しかいません。
> 現在では、教育にも、ある程度の効率化が要求化されています。地域マネジメント研究科
>のメンバーは研究科だけでなく、学類の講義も担うべきでしょう。そうなれば、いまの経済
>学部のメンバーで地域マネジメント研究科の講義を担える人も出てくることでしょう。
> 以上の2点は感想ですが、全体としては賛成というか、やむを得ないというか、この理念
>で将来計画を進められたらいいのではないかと思っています。
> しかし、一つだけ修正意見があります。
>1.研究域は4研究域にする。
> 人間社会科学研究域を二つに分けて、人間科学研究域と社会科学研究域にする。
>2.学系を7学系にする。
> 社会科学学系を二つに分けて、法学系と経済学系にする。
> 理由は明らかです。法学と経済学では、学問領域が違いすぎます。学系で、大学で最も重
>要な教員選考と予算運営をやるわけですが、そのときに、法学と経済学では合意に到達する
>のが困難です。そうすると、すぐその下の系列が作られ、法学系列と経済学系列となって、
>そこで事実上の決定が行われるようになってきます。いまの案では、系列は教員選考の原案
>作成までになっていますが、系列で事実上決まり、学系での決定は形式的になってしまうこ
>とは明らかです。
> それに現在の経済学部では、今回の案でいう系列の役割を、学科という組織がやっていま
>す。いまのやり方でいくと、経済学部では、系列の下に更に何かの組織を作らないとうまく
>動きません。
> 現在の法学部は、教員の人数が少なく、運営に非常に苦労していることはよく理解してい
>ます。学系という大きな組織のなかに組み込まれれば、負担も減少してよい結果が生まれる
>と考えられているかもしれませんが、そういう学問の体系とは別な議論を無理矢理持ち込む
>と、将来困ることになると思われます。
>安井修二
>香川大学 経済学部
>Tel:087-832-1920
>E-mail:yasui@ec.kagawa-u.ac.jp
Q&Aをみた限りでは、「法学と経済学では学問領域が違いすぎる」ということへの明確な返答はありませんでした。回答はあくまでも一般論でした。
退職間際で、もう発言しても誰も聞いてはくれませんが、しかし、長い間、経済学部というところに所属してきた人間として、教員組織として、経済学の教員と法学の教員は同じでも構わないという話は理解を越えたものです。工学と農学が違うのと同じように違うのです。回答をするというなら、学長も、一人の学者として答えてほしいものです。トップダウンだけでなく、ボトムアップもしたという言い訳のために、このようなQ&Aが使われるのでは寂しいではありませんか。
法経学部が改組して分離したという話は聞きますが、一緒になるという話は聞いたことがありません。学類という学生への対応では、別組織なのですから、法と経済が一緒では、受験生が驚くと考えたのでしょう。受験生が驚くというのは、世間も驚くということなのです。法人化の時代というのは何でもありの時代なのですか。
馬鹿な!という思いだけをここに書いておきます。