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温暖化の外部不経済

2008年7月11日

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 エミッションの経済7

 公害、薬害、アスベスト被害など企業が想定しなかったり、目をつぶったりしてきた問題が後々大きな被害をもたらし、その負担を企業がせず、政府が放置し、地域や消費者に押し付ける問題を外部不経済という。温暖化問題は地球規模の外部不経済といえる。

 外部不経済の経済理論には(1)一律規制(2)補助金(3)ピグー税(4)コースの定理、がある。

 (1)は温暖化では環境規制であり、不完全な形で東京都が条例化した。グランドデザインの設計能力を欠いても、利権につながる手法なので、我が国の官僚が得意とするが、(2)や(3)に比べて最適解ではないと経済学者はいう。

 (2)の補助金政策は財政難から削減され、この政策を積極的に推進したドイツに太陽光発電などで大きく追い抜かれてしまった。

 (3)は需給関係を課税によって、外部不経済のコストを反映したものにすることで、環境税にあたる。だが、ピグー税は、行政コストを無視している。特に税金に群がる政・官・業があまたおり、中途で失われるコストが高すぎるため、この国では最悪の選択といえる。

 (4)の「コースの定理」は、政府の介入無しに、民間の当事者間での解決を図るものである。温暖化のように関係者が膨大な数にのぼる場合には、その「取引コスト」が客観的、かつ十分低くなければならない。つまり、CO2に値付けすることであり、排出権取引市場が必要となる所以(ゆえん)である。

 排出権取引に問題がないわけではない。そのために欧州連合(EU)では過去試行錯誤を繰り返した。京都議定書以来の温暖化無策の中で、先送りされてきた排出権であるが、この国も今や導入するしかない。(匡廬)

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