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【社会】

研修医の大学離れ加速 臨床後、中部39%に減少

2008年7月11日 朝刊

 2004年度から義務化された2年間の臨床研修を終えた若手医師のうち、今春から大学病院や大学院に戻った医師が5割強にとどまったことが、全国医学部長病院長会議の調査で分かった。義務化前は7割以上が大学に残っていた。特に四国や東北、中部地方などでは2−3割台しか戻らず、大学病院の医師不足の大きな原因になっている。

 調査は、全国の大学医学部・医科大学計80校でつくる同会議が実施し、全校から回答を得た。それによると、2年前の国家試験合格者(防衛医大など一部を除く)のうち、今年4月から大学に戻ったのは4185人(55・9%)。義務化前の02年3月に大学を卒業し大学に残った医師の割合(72・1%)に比べて16・2ポイント減少した。

 地域別では、導入前の02年より増えたのは関東地方の82・3%(02年71・6%)だけ。四国28・7%(同74・0%)、東北32・7%(同63・0%)、中部39・1%(同66・4%)、中国39・7%(同73・3%)と地方では低い割合が目立ち、地域格差の拡大が顕著だった。

 新しい臨床研修制度では研修医が研修先を希望でき、大学病院より研修プログラムが充実し、待遇が良い大都市の民間病院などに集中している。小川彰会長(岩手医科大学長)は「へき地や地方の医療を担ってきた地方大学の医師不足で、過疎地医療のサポート体制が崩壊した。臨床研修制度の早急な見直しが必要だ」と訴えた。

 

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