函館市は8日、市立函館病院の手術で右腕まひの後遺症が生じた渡島管内の30歳代の男性患者に8290万円余を賠償する示談が成立した、と発表した。麻酔の薬液が誤ってくも膜下に入り神経を損傷した可能性があり、同病院は「施術にミスはなく原因は不明」と説明しているものの、全身と局所を併用する現在の麻酔方法を改めることにした。
市によると、男性は右肩関節の慢性脱臼の治療のため昨年4月、関節形成の手術を受けたが、右腕が機能しない障害2級のまひが残った。この手術では術後に強い痛みが残るため、全身麻酔と右首下部への局所麻酔を併用。しかし、局所麻酔の薬液が脊髄(せきずい)神経の束になっている部分を通じ、くも膜下に入り込んだ跡が確認されたという。【昆野淳】
毎日新聞 2008年7月9日 地方版