インテリ層の移民受け入れに反論
優秀な外国移民を歓迎するというのは滑稽な議論だ。
知識階層とかインテリ階層と呼ばれる人が、今回の移民1000万人受け入れ構想に賛同しており、それが雑誌などに紹介されている。今週発売の雑誌「SAPIO」にも、下記のような特集が組まれています。
「移民は」は救世主か、問題児か
この中で、大前研一は積極的に移民を受け入れるべきであると主張しています。その理由は「世界中から優秀な人材がやってくる」というのです。
このような議論は東京都の石原都知事も同じような考えを表明しています。
きちんとした移民政策を―
同時に、私は決してレイシストではない。日本はきちんとした移民政策をとればいい。
労働力も足りなくなって日本の人口構成も逆三角形になってきたんですからね。私達日本人のルーツは北はモンゴル、東は中国大陸、朝鮮半島、南はメラネシアからインド、パキスタンまで。日本人のルーツというのは四方八方なんですよ。
私の親父はインド人のような顔つきだったし、お袋は目が細くて中国人のような顔つきだった。それが結婚して子供が出来たら私のような典型的な日本人顔になった(笑)。
皆、典型的な日本人だと思ってるけど、全部混血!だから日本人は優秀なんだ。
だから私は日本はもう一度、思い切って移民政策をやったらいいと思う。そうしたら不法入国も総体的に減ってくると思う。正式な入国をさせるためにはきちんとした入国管理をしなきゃいけない。
日本の将来を考えても、アメリカ社会のダイナミズムの根底には何があるかと言うと移民というものが大きい。
私は日本国民が「移民政策をやる」という認識の下に入国管理をきちんとやれば治安回復にも繋がってくると思うんですよ。
↑はかつて(2003年頃)に東京の治安問題を都民と語りあった「東京トーク」という集会で述べたものです。
石原都知事を私は政治家として尊敬し、また外国人犯罪などに対する取り組みを支持してきましたが、この昔からの持論にだけは賛同できなかった。
「移民を認めると優秀な人がやってくる。」という意見と、この混血が進むと民族の優秀性が保たれるという考えは、果たして根拠のあるものなのでしょうか?
そのことについても考えて見たいと思います。
移民の国である米国には、確かに優秀な人も多いし、また様々な面において強力な国家体制を作り上げていますが、それは白人が主導してきた時代のことであって、現在南米からの移民が増加することによって、その米国の弱体化は誰の目にも明らかです。
西欧社会の現実は、日本のインテリ層が主張する方向とは全く違っています。優秀な人ばかりがやって来るわけではありません。経済的に貧困であって、ろくな教育も受けられなかった人々が大量に流れこみました。
つまり、それは世界の実情とはかけ離れた主張であって、嘘を言っているとまでは言いませんが、余りにも一方的な主張であると断ぜざるを得ません。
大前研一氏は、現在経済的な繁栄を謳歌しているのは、シンガポール、香港、ドバイなどであり、それらの地には世界中から優秀な人たちが集まっており、日本もそのような移民国家を目指すべきと言っています。
しかし、これは全く日本などとは比較にならないケースであり、これを日本と同列に論じることに大きな問題があります。香港やシンガポールなどにしても、元々植民地国家として多数の人が流れ込んで来ました。
その人口や面積はわずかであって、国家というよりは都市が拡大したもので、都市国家と呼ばれる方が適切でしょう。このような都市国家は歴史上も人の出入りが多く発展して来ました。
しかし、これを「移民国家」の理想的なものとして捉え、日本の将来像に置き換えるのは、どうしても無理があると考えます。国家というよりは香港、シンガポールははやり一つの都市と見るべきです。
最近、躍進が著しいアラブ首長国連邦のドバイですが、この国は人口が150人万でその内の90%は外国人だそうです。元々この国は砂漠であり、遊牧民の住むところで、国家という概念が果たして歴史的にあったのか?
そのようなところに戦後植民地から独立する形で国が作られ、現在石油ブームで賑わっているとしても、こちらも同じように移民国家の成功として称えることは余りにも早計過ぎるのではないか。
成功例として挙げられるものは、小規模の都市国家やドバイのように最近注目される所ばかりです。これらのところにおいては、投機筋が集まっており、マネーゲームの場ともなっています。
どう見ても、それがまともな国家の在り様とは呼べないでしょう。
対して、移民を受け入れてしまったために、社会に深い亀裂を生じさせてしまったケースが西欧社会にはたくさん見られます。日本はどちらかと言えば、この西欧社会に類似した国家形成の歴史があります。
西欧社会が外国人移民を受け入れ、その殆どの国家で失敗したことは、これは厳然たる事実なのです。そのことを本来は誰よりも熟知している筈の知識階層が、そのことに沈黙しているのは何故なのでしょう。
西欧社会の移民にも優秀な人はたくさんおります。しかし、その優秀だから国家に貢献するとは限りません。医者や弁護士、技術者などの知的レベルの高い人ほど、危険であるという考えも成り立ちます。
9・11事件を起したテロ組織は活動家を西欧社会で調達していました。英国の電車テロやドイツのケースなどを見ても、爆弾テロに走る人の率は、高学歴の人の方が高いでしょう。
いくら優秀であっても、多数派ではないという現実から逃れることは出来ません。差別や疎外と言った感情の行く着く先に、そのようなテロリズムに陥る危険性が常に付きまとっているのです。
優秀な人だけが優遇される社会も考えものです。一般のごくごく普通の日本人はどうなっても構わないとでも言うのでしょうか?
この問題は「優秀な外国人がやってくるから・・」などという論点だけで主張されては、たまったものではありません。優秀な外国人のために、我々一般の日本人が犠牲を強いられる社会など御免蒙ります。
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