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07/10-12:43--玉野市が地財法違反　決算剰余金「貯金」せず　「発足直後から」

　玉野市の毎年度の決算処理は、剰余金の２分の１以上を基金に積み立てなければならない地方財政法の規定に違反していたことが、岡山日日新聞の取材で分かった。違法な処理に当たるが、罰則規定や岡山県、総務省の指導権限はなく、厳しい地方財政と地方分権のはざ間で、同法の取り扱いは今後、論議を呼びそうだ。 　地方財政法第７条は、各会計年度で出る決算剰余金の取り扱いについて「二分の一を下らない金額は、これを剰余金を生じた翌々年度までに、積み立て、又は償還期限を繰り上げて行なう地方債の償還の財源に充てなければならない」と規定している。 　岡山市の０７年度決算見込みをみると、歳入から歳出と翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は、４２億３７１万円の黒字で、このうち２２億円を財政調整基金に積み立てている。同市は同基金の条例も定めており、ここ１０年間では毎年２２〜３５億円を積み立てている。 　一方、玉野市が公表している「収支状況・財政指標等の推移」をみると、０５年度は実質収支が８億７５２８万円の黒字だが、独自のものを含む財源調整のための６基金への積み立ては、２億４万２千円にとどまっている。 　さらに、０２年度は実質収支が５億４３５８万５千円の黒字に対し基金への積み立ては１万９千円。０１年度は９億３０９８万９千円の黒字に対し積み立ては４万２千円しかなかった。 　１９９７年度以降の１０年間の推移をみても、実質収支は各年度とも４億９千万円以上の黒字が出ているが、０６年度を除くと、積み立ては１万９千円〜６８３万１千円にとどまり、繰上償還も一切行われていない。 　同市によると、各年度の実質収支は、議会の承認が必要な基金の積み立てを行わず、全額を次年度の補正予算用の財源に充当。本来の基金積み立て、取り崩しの手順を省略し、直接財源としての使用を繰り返しているという。 　同市財政課は「市の発足直後から同様の処理を行ってきたが、国や県から指導を受けたことはない。市民にもこの方式で長年公表しており、混乱を避けるため直ちに変更するのは難しい」と説明する。 　背景には、同市の厳しい資金繰りもあり、山��秀樹財政部長は「次年度の予算のやりくりを考えると、基金積み立てまで手が回らない。ただ、０７年度は約９億円を基金に積み立てており、改善もみられる」と強調する。 　市町村から決算報告を受けている県は、基金積み立ての実態を把握していたが、県市町村課は「確かに改善に向けた助言を行う必要があるが、県が指導まで行う権限はない。最終的には市の判断にゆだねられる」と静観の構え。 　総務省財政課は「事実ならば、地方財政法上は違法に当たる。法律を守るのは基本中の基本で、解決に向け市として努力してほしい」と話している。

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