大和川の侍
喜劇新思想大系 完全版 下巻 価格:¥ 3,675(税込) 発売日:2004-08-10 |
毎度お馴染み、平田弘史です。今日は貸本時代の傑作と呼ばれている大和川の侍という作品なんだが、便利な世の中になったようで、今では電子ブックで読めるようです。電子ブックというのもデータだけなので有難味が薄いんだが、それはまぁ、しょうがない。で、本日のネタは↓コレです。
コレがオリジナルの表紙です。魔像別冊となっているんだが、魔像というのは日の丸文庫が出していた時代劇の雑誌で、A5判の貸本漫画です。この時期の平田弘史はほぼ毎号、25~60ページの短編を描き、年に3冊ほど別冊で長編も描いている。この作品は1961年、この年には復讐つんではくずしという回収騒ぎを起こした名作が描かれているんだが、その次に描かれた長編ですね。
平田弘史の貸本期作品。1961(昭和36)年に発表された『大和川の侍』。城主の家に生まれながら、足の障害により家と断絶させられた大和川真介。育ての親である父が殺されたことをきっかけに復讐の鬼となり、やがて「蛇剣士」と恐れられる剣豪へと成長していくのだが…
ここに登場する「不具者剣士」なんだが、足が悪くて松葉杖ついてます。それが、斬り合いになると地べたを這いまわって蛇のようにのたうちまわりながら敵を倒すという、これまた壮絶な話なんだが、翌年に描かれた血だるま剣法にも同一の設定が出てくるわけで、この時期の平田弘史がフリークス物に取り憑かれていたのがわかる。この時期、平田弘史は24歳、デビューして4年目でなんだが、すでに劇画調の絵柄を完成させているのがわかる。
また、この時期は貸本漫画そのものも最盛期だった。日の丸文庫は中でも最大手で、大阪の版元です。なお、日の丸文庫には社員として、山上たつひこ、政岡としや、山松ゆうきち、が在籍していた。水島新二が現代人情物で人気作家だったね。
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