オゾン層が回復すると、南極の温暖化が進むかも――。こんな可能性が国立環境研究所などの国際グループによる予測で浮かび上がった。
オゾン層を破壊する原因のフロン類の規制などにより、オゾンの破壊が止まって南極上空にできたオゾンホールは65年ごろに解消すると予測されている。
13日付の米科学誌サイエンスによると、環境研など日米の計7機関が最新の気候モデルで50年までの変化を計算すると、オゾン層が回復するにつれて、南極では西風が弱まることがわかった。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次報告書で使われた気候モデルで計算すると、南半球全体で西風は強まるという結果が出ている。このため、地球全体は温暖化が進むが、南極はそれほど温暖化の影響を受けないとみられていた。
しかし、南極で西風が弱まると、暖かい地域からの熱が移動しやすくなり、温暖化する可能性があるという。環境研の秋吉英治主任研究員は「オゾン層の回復と気温変化のかかわりを詳しく調べる必要がある」と話している。(高山裕喜)