サンティアゴ(AP) ナチス・ドイツの残党を追跡しているユダヤ人人権組織サイモン・ウィーゼンタール・センターは8日、ナチス親衛隊(SS)の元メンバーで「死の医師」の異名を取ったアリベルト・ハイム氏が、チリ南部かアルゼンチンで存命である有力な証拠を入手していると発表した。
イスラエルの同センター関係者は9日、ハイム氏の娘が長年住んでいるチリ南部プエルトモントに入る。その後11日には南米の同センター関係者が、アンデス山脈を横断してアルゼンチン・バリローチェを訪れる。
関係者によると、ベルリン市内で開かれているハイム氏名義の銀行口座には、160万ドル(約1億7200万円)の預金残高がある。子どもたちが引き出した形跡はなく、引き出すためには同氏の死亡証明書が必要。
同センター関係者は、ハイム氏の行方を突き止めるための有力情報を入手したとしている。同氏拘束につながる情報には、同センターとドイツ・オーストリア両国政府により、49万5000ドル(約5300万円)の報奨金が支払われる。存命である場合、同氏は94歳になる。
ハイム氏はマウトハウゼン強制収容所の医師で、何百人もの収容者を殺害した。戦後は米軍によって2年半拘置されたが、裁判が行われることなく釈放され、ドイツ当局による訴追が近いとの情報提供を受け、1962年に消息を絶った。今回の同氏追跡には、チリ政府が協力する。