現代芸術家の村上隆さん(46)の作品を契約に反し短期売買しようとしたとして、村上さんが代表を務めるアート作品制作会社「カイカイキキ」(東京都港区)が、不動産管理会社「セルリアン」(渋谷区)に作品の返還などを求めて東京地裁に提訴した。提訴は4日付。村上さん側は「投機目的で扱われるのを防ぎたい」としている。
訴えによると、カイカイキキは1月、カラフルな花柄を立体に見えるように描いた村上さんの絵画「フラワーボール ブラッド(3-D)V」を約6800万円でセルリアンに販売した。10年間の転売を禁じる契約だったが、セルリアンは6月、英国のオークションに出品。村上さん側が東京地裁に申し立てた転売禁止の仮処分が認められ、競売前に出品は取り下げられたが、その後も転売の動きがあるという。
村上さんは、米タイム誌が「世界で最も影響力のある100人」に選出した芸術家。5月には、等身大フィギュア作品「マイ・ロンサム・カウボーイ」が米国のオークションで約16億円で落札され、話題になった。
セルリアンは「事実関係が違う部分がある。内容を精査して対応するので現時点ではコメントできない」と話している。【銭場裕司】
毎日新聞 2008年7月10日 20時15分