若い女性に人気のおしゃれ用のカラーコンタクトレンズが、目の異常を訴える被害が相次いだことを受け、販売規制がかけられることになった。インターネットなどを通じ、事実上野放し状態で売られ、店頭で客に医療上の免責を趣旨としたとみられる文書に署名させるケースも。眼科医だけでなく、コンタクト業界から規制を歓迎する声も出た。【奥山智己、真野森作】
東京都内の女子大学生(18)は、2年前から度なしのカラコンを使い始め、今年1月には自宅近くの大手ディスカウント店で約4000円で購入した。その際、「お客様とのお約束」という文書に署名させられた。そこには、「医療上の責任は負いかねます」などと記載されていた。
店の担当者は、毎日新聞の取材に「署名は販売管理上必要なもので免責のためではない」とし、「誤解を与える」との理由で4月以降、「医療上の責任は負いかねます」との記載を削除した。
視力矯正用のカラコンを扱うメーカー大手のチバビジョン(東京都品川区)は「コンタクトは医師の処方に基づいて正しい使い方をしないと安全を担保できない。(おしゃれ用の)粗悪品と医療機器のコンタクトを一くくりにされてしまうと困る」(広報部)と話し、規制に理解を示す。
規制の動きに、日本コンタクトレンズ協会の担当者は「協会とは関係がないのに、クレームが寄せられており、規制が必要と思っていた」と話した。
社団法人「日本眼科医会」の常任理事で医師の宇津見義一さんは「カラコンを装着すると異常な低酸素状態になる。また、通販などで、適切な洗浄や消毒、保存方法を指導しておらず障害が起きやすい。材質が良く分からない物もあり規制は当然」と指摘する。
毎日新聞 2008年7月10日 15時00分(最終更新 7月10日 15時00分)