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他人事ではない「熟年離婚」回避法
【「大定年時代」を生きる】
あなたも捨てられる?! 団塊世代の大量退職が始まる来年は、4月1日に施行される年金改正法が引き金になり「熟年離婚」の件数が爆発的に増えるといわれている。まさに「夫婦の2007年問題」。夫婦問題のスペシャリストとして知られる池内ひろ美さんに、今からでも間に合う、妻に捨てられない夫になるための対策を聞いた。(2006.04.13紙面掲載)
■「お母さん!」はダメ
警鐘を鳴らす意味で、『熟年離婚の損と得~捨てる妻、捨てられる夫』(ワニブックス刊)を緊急出版したばかりの池内さん。池内さんは、まずは夫側が自分の“落ち度”に気付くことが離婚回避の第一歩だと説く。
「落ち度とは自分のミスのことではありません。妻が被害者的に感じていることでいったい、何に傷ついているのかを考えてみることです」
ふだん妻をよく見て、「どんな人なのか」を改めて見つめ直してみる。
「その上で、こういう妻と本当に、今後もやっていきたいというのなら妻を人間扱いすることです」
具体的には、妻を名前で呼ぶことから始めよ、とアドバイスする。簡単なことのようだが、名前で呼ばずに「お母さん!」と呼んでいる人は少なくないだろう。これは、禁句だそうだ。
「『お母さん』は日本の家では生活習慣や、しつけ、世話をする役割ですから、夫から『お母さん!』と呼ばれると早くしなさい、さっさとしなさいと指示命令口調に自動的になってしまうものです。名前で呼んでいて捨てられる人はいません」
たかが、呼び方というなかれ。そこには無意識のうちに呼ぶ側の意志が強く働いているというのだ。
「『お母さん』と呼んでおいて、かわいくしていろというのはムリな話。そんなかわいくない妻が不愉快で、攻撃したり無視したり…。その揚げ句に、今度は夫の方が捨てられてしまう。妻を名前で呼ぶことで、指示命令を受けない立場になれます」
ちなみに、「オイ!」は論外。妻がモノ扱いされたと感じたら最後で、自分もモノ扱いされるようになる。つまり給料を運んでくるモノから、給料を運んでこないモノに…。
■意味のない「ごめんなさい」もダメ
今まで、妻に何もしてこなかった。その後ろめたさからなのか、とにかく仲良くしよう、と「ごめんなさい」を連発する夫がいる。
「よく犯すミスです。『じゃあなにが悪かったの?』と言われ、その答えが妻が望むことでなければ『この程度なの、やっぱりわかってないのね』と新しいケンカが始まってしまいます」
では、どう言えばいいのか。その代わりが「ありがとう」だ。
「いちいち感謝の気持ちはこめなくていいんです。食事が出てきたら当たり前と思わずに、ありがとう。ありがとうからケンカは始まらないものです」
たとえば、「子供たちがちゃんと育ったのは君ががんばったからだね。ありがとう」。
そこで「…まかせっきりでゴメン」となると、ケンカの火種になりかねないという。
■「きれいだね」より「かわいいね」
ヘタな褒め方をすると溝はかえって深まってしまう。
「女性は100人いたら100人が若いころより肌も髪も年々きれいでなくなることに脅えています。ですからそんなところを突っ込んではだめ。仮に爪がきれいなんていわれたら『家事してないとでも言いたいの』と勘ぐられてしまう」
この場合「かわいいね」が正解。「性格でもしぐさでも、かわいいと言われて怒る人はいないでしょう。かわいいは万能の言葉。頑張っているところが、かわいいでも、何でもいいんです」。ちなみに関西なら、微妙なニュアンスを含んだ「アホやなあ」もあり。
服装や髪形を褒めるには高度なテクニックが必要だ。
「クラブやバーの女性が服装や髪形を褒められて喜ぶのは商売だから。それを家に持ち込んでも通用しない。ふだん見ていないとわからないし、服なら『今までも着ていた』とか、『買ったとき、こんな高いものをと、責めたクセに…』ととる妻もいます」
■仲良くしない
ここまで読んできて、何だか窮屈だなぁ、と思う男性には、次の池内さんの言葉が、ちょっと救いになるかもしれない。
「仲良くしようと思わないことが、仲良くするコツです」 なにやら禅問答のようだが。
「団塊の世代は男性も女性も競争してきた世代ですからいまさら仲良くしようとしてもムリ。それでも理由(わけ)あって続いてきた夫婦ですから、今まで通りの距離感を変えないことが大事なんです」
さらに、こう続ける。
「良きにつけ悪しきにつけ、家は自分のやり方で築き上げた妻のお城。そこへ仲良くしたいと入っていくには奴隷になるか言いなりになるしかないのですが、そんなプライドの無い男性は魅力も無くかえって捨てられてしまうものです」
気配りができて、自分をしっかり持っている男性は、年齢を問わず、魅力があるということか。
■「熟年離婚」の危険度をチェックしてみよう。次の項目のうち、あなたの○はいくつか?
□妻を名前で呼んだことは一度もない
□親の介護や夫の世話は、当然、妻のつとめのうちだ
□「きれいだね」と「かわいいね」では、妻は「きれいだね」の方が喜ぶと思う
□妻が、健康によい食事を作るのは当然のことだ
□妻は夫の仕事を尊敬し、バックアップして当然だ
□子どもが、父親である私を避けていると感じる
□熟年離婚する人はマスコミに躍らされるバカだ
□自分の落ち度はわかっている
□妻に「ありがとう」の一言がなかなかいえない
□家は俺の城だ
※○が5つ以上の方は、熟年離婚の危険度が大。3つは、残り1年で改めれば、まだ間に合う。2個以下も、油断大敵。
■最近、離婚した芸能人の主なカップル
05年10月辺見マリ(55)・宝石デザイナー(41)
06年2月そのまんま東(48)・かとうかず子(48)
3月横内正(64)・元女優の堀越陽子さん(55)
4月麻木久仁子(43)・作曲家の松本晃彦氏(43)
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■いけうち・ひろみ
1961年生まれ。東京家族ラボ主宰。心理カウンセラー、精神科医、弁護士などの協力を得て、夫婦問題などの相談業務を行う。本紙連載を元に、十数年前出版した『リストラ離婚』は、タイトルが流行語となったほど、時代を先取りした。
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