(cache) 夕刊フジBLOG：韓流ブームを黙って見ていてはいけない

韓流ブームを黙って見ていてはいけない

【オトナの性・恋愛講座】
　私は男が好きだ。いや、誤解のないように言い換えれば、いい男が好きだ。最近の日本にはオトナのいい男が少なくてがっかりする、などと言っている場合ではない。多くの日本女性が“ヨン様”ことペ・ヨンジュンにハートをわしづかみ人されるのを黙って見ていていいんですか？（2004.10.07掲載）

　今や韓国俳優なら誰でもいいといわんばかりの節操のない韓流ブーム。彼らのどこがいいのか？　ドラマや映画を観て、この夏３回連続で韓国へ行ってきた。そこで、分かったことは、背景に儒教社会がたっぷりと残る文化があることだ。
　韓国では女性の地位はいまだ低いが“価値”は高い。若い女性の価値は２０代前半までだが、結婚し子をなした母親の価値はめちゃめちゃに高い。さらに年齢を問わず、美しさにも絶対的な価値を認める。したがって、韓国を訪ねた日本女性に対して、「あなたは美人ですね」と誰かれ構わず言うのである。年配の女性に対してであれば、年配女性の後ろに彼らの母親を思い、絶対的な忠誠心のようなものすら見せる。胸に左手をあて、はにかんだ笑顔を見せる“ヨン様式ポーズ”にそれが象徴されている。
　現在の韓流ブームの火付け役はいわずもがな熟年女性である。日本では相手にされない女性たちだ。仕事もなく結婚し、子どもがいるオバサンは、今まで社会からも夫からもババア扱いされていたのである。ところが韓国俳優は、胸に左手をあてて画面の中から語りかけてくれるし、ソウルで、道行く若い男性に話しかけると、「日本語が分かりません」の代わりに胸に手をあてて、はにかまれちゃうのである。
　そのしぐさは、韓国では年上の人に対する礼儀としてのものだが、日本では男性が胸に手をやるという文化がないため、彼女たちは、礼儀として受け止めるのではなく、あなたを大切に思っていますという意味にすらとりかねない。そして胸がきゅんとなり、目まいを覚える。
　けっしてペ・ヨンジュンはいい男ではない。歯並びだって角兵衛獅子だ。韓国にはもっといい男がいるのである。イチ押しはチェ・ミンシク。張り付いたままの気色悪いヨン様笑顔なんかより、きちんと表情のある４０を越えたオトナの男がいい。日本男性が素敵なオヤジを目指すなら、チェ・ミンシク。次回はその目指し方をお伝えしよう。
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●池内ひろみ
　１９６１年生まれ。離婚、再婚を経験後、旧来のフェニズムとは異なる視点で、夫婦・家族問題コンサルタントとして活動。東京家族ラボ主宰。