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俳優もフツーの男も表情で魅力が決まる
【オトナの性・恋愛講座】
ようやく「冬ソナ」が終わったかと思うと、秋も韓国ドラマが目白押しという節操のない韓流ブームが続く。どうせブームなら乗ってしまえ。(2004.10.14掲載)
韓国俳優の私のイチ押しはチェ・ミンシク。ヨン様のようなテレビドラマではなく映画俳優である。韓国ではテレビと映画は明らかにランクが違うのだ。
チェ・ミンシクは映画「シュリ」(99年)で北朝鮮特殊部隊隊長を怪演した名優で、11月公開の「オールドボーイ」に主演している。ハンサムではない長身でもない40を超えたオヤジである彼の魅力は、表情だ。思わず顔をそむけてしまう不潔さから、抱きしめたいほどの切なさまで、表情が変わるのである。俳優であれば当然と思われるだろうが、残念ながらそうではないことが日本映画と対比すれば分かる。
同月公開の「血と骨」。ビートたけし主演で戦後の在日朝鮮人一家を描く超大作であり、原作(梁石日著)は一度に読み切るのが苦しく感じられる物語。崔洋一監督作品の中でも傑出している。しかし、たけしの表情が残念だ。
全編下品でバイオレンスたっぷりの映画にも関わらず狂気の表情に乏しいため、どれほど過激に暴れても「なんだこのやろう」と拳を振り回している程度にしか映らない。この映画のたけしに象徴されるのが日本男性である。どんな役を演じても普段のパーソナリティーが透けて見える。もちろんマスコミも悪いかもしれない。私生活をあばき、仕事として司会も俳優もやるというのも無茶な話だ。それらを差し引いても、男としてそそるものが足らない。
表情がないと魅力に欠けるのは、なにも俳優だけではない。フツーのオヤジだって、仕事中も、飲みに行っても家に帰ってもいつも同じ顔だと、女はうんざりする。一人前のオヤジであれば、苦虫を潰したような顔を作らなければならない場面もあるだろう。でも彼は、私だけに少し甘えた顔になるの、なぁんていうのが、どの職業でもモテる男の必須条件である。
眉間にしわを寄せる課長がふと見せる寂しげな笑顔にOLはクラクラする。キレ者の社長が彼女にだけ、いたずらっぽい笑顔でウインクすると彼女は一生離れない。せっかく安堵したいい顔を、トイレの壁や風呂の天井にしか見せないのはもったいないですねぇ。
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●池内ひろみ
1961年生まれ。離婚、再婚を経験後、旧来のフェニズムとは異なる視点で、夫婦・家族問題コンサルタントとして活動。東京家族ラボ主宰。
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