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50億ドルの市場介入、為替防衛効果に疑問(下)

1000ウォン割れが目標か

◆政府が発したUターン信号

 最近の大規模なドル売り介入で政府がウォン安政策を放棄したことが市場に深く認識された。大統領府(青瓦台)も崔重卿(チェ・ジュンギョン)企画財政部第1次官を更迭し、ウォン安政策を放棄する立場を明確にした。9日午後、韓国銀行の安炳讃(アン・ビョンチャン)国際局長は「7日に企画財政部と共同で発表した外国為替市場安定対策でも明らかにしたように誤ったウォン安期待心理は改められるべきだ。為替相場が安定するまで強硬な措置を取る」と述べた。企画財政部はもちろん、韓国銀行までもがウォン安期待心理の打破に乗りだしたことになる。企画財政部と韓国銀行の共同歩調は、6%台を記録した物価上昇をこれ以上容認しないという意思の表れでもある。

 政府が物価安定を最優先の経済運営目標として位置づけた以上、今後も輸入物価抑制に向け為替相場の安定に全力を挙げるとみられる。為替相場がウォン安に触れるごとに通貨当局が介入を行い、相場下落を抑える場面が繰り返される見通しだ。

◆為替動向は霧の中

 シティバンクのオ・ソクテ部長は、「9日の介入からみて、政府は1ドル=1000ウォンを超えるウォン安を望んでいないようだ」と指摘した。一時1050ウォンまで下落したウォン相場を3けた台まで引き上げるのが狙いではないかとの見方だ。新韓銀行金融工学センターのホン・スンモ次長は「1050ウォン前後だった相場を1000ウォンまで上昇させた以上、当面は1030ウォンを超えるウォン安は考えにくい」と予測した。

 しかし、政府の市場介入が成功するか否かについては、慎重な見方が支配的だ。まず、対外環境の悪さが挙げられる。米投資銀行JPモルガンは8日、「最近は足踏み状態だが、今月末には原油価格が1バレル=150ドル(約1万6000円)まで上昇する」と予測した。リーマン・ブラザーズも今年の原油平均価格見通しをこれまでの105ドル(約1万1200円)から127ドル(約1万3600円)へと上方修正した。原油価格の上昇が続けばドル建て決済需要が増え、韓国政府が目標とする1ドル=1000ウォンの死守は容易ではないとの見方が根強い。

 サムスン先物のチョン・スンジ研究員は「原油価格が大幅に調整されるまではウォン相場が1000ウォンよりウォン高に振れるのは難しい。ウォン相場は当面990-1050ウォンのレンジで推移する」と予測した。シティバンクのオ部長は「原油高とアジア通貨安など対外環境が良くない局面で、韓国政府は流れに逆らって介入を行っており、今後の為替動向は予測が難しい」と話した。

趙義俊(チョ・ウィジュン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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