2008年05月23日

『日本の「食」は安すぎる』は必読の書ぜよ!

 今回は、『日本の「食」は安すぎる』(〜「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない〜)〈山本謙治 著 講談社+α新書 800円+税 2008年3月20日第1刷発行〉っちゅう書籍をご紹介しますぜよ。日本の「食」は安すぎる

 著者は、慶應義塾大学環境情報学部在学中に畑サークル「八百藤」を設立して、キャンパス内外で野菜を栽培されたっちゅう異色の経歴の持ち主ながよ。同大学院修士課程終了後は、(株)野村総合研究所、青果流通の(株)シフラを経て、2005年、(株)グッドテーブルズを設立。農産物流通コンサルタントとして活躍中ながやき。また本業の傍ら、ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」(http://www.yamaken.org/mt/kuidaore/)を書き続けられゆうっちゅう、うまいもん好きの方でもあるがぜよ。

 そういう著者やき、農産物を「生産する側の論理」、「流通させる側の論理」、「販売する側の論理」を知っちょって、さらに「消費する側の論理」も分かっちゅうっちゅう、まさにこの書籍を書くにふさわしい方ながやき。ほんで著者は語るがよ。「現在、農業と流通の世界はこぢゃんと大きな転換点に立っちゅうけんど、生産・流通・販売のどれかひっとつの立場から見ただっけじゃあ問題を解決するがは難しい。農業に関わるすべての立場とチビッとでも関係しちょったワシの役目は、その間をうまいことつなぐことながぜよ。」と。

 そんな著者がこの書籍でまず指摘するがは、2007年の一連の食品偽装問題と、それ以前の雪印事件らあの食品問題との違いながよ。そりゃあ、事件が「意図的に引き起こされたか否か」っちゅう点が決定的に違うっちゅうがやき。不二家、ミートホープ、白い恋人、赤福、船場吉兆・・・皆、過失らあやのうて、意図的に作られた問題ながぜよ。

 なかでも著者はミートホープの事件を注目に値するとして、あの社長の発言を取り上げるがやき。

 「販売店も悪いし、半額セールで喜んで買う消費者にも問題がある。」

 当然ミートホープの行為は犯罪やき、罰せられにゃあイカンがは明確で、著者は擁護しょうとしゆう訳やないがよ。ただ、一度みんなあが吟味すべき言葉やと、食品の偽装・虚偽行為を本当になくしたいと本気で考えるやったら、この言葉と真剣に向き合うべきやっちゅうがぜよ。

 なんでこれっぱあ多くの類似の食品偽装事件が頻発するがか。そりゃあ、「タブーを犯さにゃあ生きられん構造」が、そこにあるからやないろうかと、著者は指摘するがやき。ほんで、そんな日本の社会が直面しちゅう問題を生み出してしもうた要因のひとつにゃあ、間違いのう「安いもんを求め過ぎる消費者」が存在すると、断言するがぜよ。

 食品が製造されて消費者の手に渡るまでの連関をフードチェーンっちゅうがやけんど、このフードチェーン上で今もっとも力を持っちゅうがは、間違いのう消費者やっちゅうがやき。今、フードチェーンじゃあ、「消費者が求めるもんを消費者が求める価格で提供する」っちゅうことが至上命題になっちゅうっちゅうがよ。消費者至上主義の時代、消費者の発言力は強大やっちゅうがやき。ほんで、その発言は「価格をより安うすること」に対して向けられることが多いっちゃうがよ。もちろん、具体的に「安いもんが欲しい」っちゅう発言をした記憶はない人がほとんどやろうけんど、スーパーらあの小売店じゃあもっとも安価な特売品が売れるっちゅう現実があると。このため「消費者は安価を要求しちゅう」となるっちゅうがぜよ。

 そんな中で、「製造業者が独断で不正を行うた」やのうて、「製造業者が不正を行わざるを得ん状況に追い込まれた」と見ると、日本の「食」が抱える問題点が浮かんでくると、著者は語るがよ。ほんで、この構造を変えん限り、同じような犯罪に手を染める企業や人は出続けるっちゅうがやき。ほんじゃき著者は、現在の食品価格は、製造業者が不正を働く必要を感じん価格レベルたぁ大きゅう乖離しちゅうとして、今、日本の食べ物は安すぎると、はっきり断言するがぜよ。

 ほんで著者は、様々な事例を挙げて解説していくがやき。例えば地鶏。安すぎる地鶏商品は疑うべきやっちゅうがよ。「地鶏肉の日本農林規格」によりゃあ、雛鳥の血統、飼育期間、飼育方法らあが全くブロイラーと違うし、餌代だけやち2〜3倍になるっちゅうがやき。ほんじゃき、地鶏と謳う焼き鳥で1本200円以下やったら、変やと思うた方がえいっちゅうがぜよ。

 著者は、マーケティング業界の集まりらあでも、「農業らあの第一次産業を復興させるためにゃあ、価格を少のうたち1.5倍、できりゃあ2倍ばあに上げにゃあ無理でしょう」っちゅう話をするがやと。ほいたら必ず、聴衆は複雑そうな顔をすると。「まっと誓う結論はないがか?」っちゅう顔やと。聴衆が期待しちゅうがは、「様々な工夫によって、良質なもんを低価格で提供できるビジネスモデルが成り立つがですよ」っちゅう話ながはわかっちゅうと。けんど、そんなムシのえい話は、そもそもどこっちゃあに存在せんがよ。新鮮で、安全で、美味しい食品は、高うて当たり前のもんながやと、著者は断言するがぜよ。

 あとは、漬物、豆腐、納豆、伝統野菜、ネギ、牛肉、豚肉、ハム、卵、牛乳、ラーメン、ハンバーガー、山菜ソバ、椎茸、お酢・・・と取り上げて、それらあがいかに安すぎるかを解説していくがやき。ちなみに牛乳のところじゃあ、山地酪農の先進地として高知県も紹介されちょって、「ひまわり乳業」さんと社長の吉澤文治郎さんの言葉らあもご紹介されちゅうがやき。文治郎さん、カッコえいぜよ!

 また、著者の友人で食品加工業界におる方は、コンビニやファストフードらあで食品を見るときにゃあ、必ず頭ん中で原価計算をするっちゅう事例も紹介されちゅうがやき。ほんで、自分が基準値として持っちゅう「ヤバイ線」を越えて安すぎるもんは、絶対買わんっちゅう例ながよ。「安いっちゅうこたぁ、どっかにしわ寄せがいっちゅうっちゅうことながやき。ほんで、どこにそのしわ寄せがいくかといやぁ、食品の場合は、だいたい人の身体や。」・・・こんな言葉を聞いてから、著者も、安すぎる食品にゃあ注意するようになったっちゅうがぜよ。

 ほんで締め括りに、どういたらこの状況を変えることができるがか、なかでも、一般の消費者に何ができるがかっちゅうことについて、以下の通りの提案をされちゅうがやき。

●売り場で堂々と「これ○○かしら?」「こういう商品はないの?」っちゅう声を、販売員にぶつけていこう。

「私一人が声を上げたちどうにもならん」と思うかもしれんけんど、同時多発的に声が上がりゃあ、そりゃあものすごい力になるっちゅうことながよ。

●自分が共感できる商品があったら、「買い支える」。

 著者が考える「買い支える」っちゅう行為は、おそらく皆さんが想像する以上に思い意味を持っちゅうっちゅうがよ。「買い支える」っちゅう行為は、消費者に常ならん負担を強いるもんやっちゅうがやき。近年においちゃあ、食の生産・製造者らあが一方的に「より安いもんを」っちゅう要求に汗してきたがよ。そろそろ、このバランスを正常化させるために、消費者も汗すべきながやないろうか。それが「買い支える」っちゅうことやと、著者は語るがぜよ。

 ほいたら「買い支える」商品は、どうやって選んだらえいがか。そりゃあ誰やち今日から簡単に実践できることやとして、以下の内容を提案されちゅうがやき。

●ひとつの食品を買う・買わんの判断をするがに30秒かける。

●ほんでその間に、食品をひっくり返してみて、表示を読む。

●さらに、「私は、ほんまにこれを食べたいと思うちゅうがか。」と考えてみる。

●まだ余裕がありゃあ、「この食品が自分の手に入るまでに、どんな道のりを経てきたがか」を考える。

 ほんで本書のラストは、以下の言葉で締め括られちゅうがよ。
 
 「現在の日本の「食」は安すぎる。そのために歪みが生じた日本の「食」を正しい方向へと導けるがは、消費者であるおまさんらあながぜよ。」




日本の「食」は安すぎる―「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない (講談社+α新書 390-1C)







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Posted by tsukasabotan at 08:53 │Comments(0)TrackBack(0)

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