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那覇市で家賃二極化 中間層が減少2008年7月10日

125平方メートル、3LDKの広さで、最上階からの眺望が売りの月30万円の賃貸マンション=那覇市おもろまち
約1・5畳の広さの「個室」を月1万5750円で提供するイン・リンクのカプセルアパート=那覇市辻

 那覇市内の賃貸アパートやマンションで、幅広い需要に合わせて、家賃の二極化が進んでいる。人気の高い新都心地域では、県外からの転勤者や移住者らが需要を支え、家賃は高め。立地や広さ、眺望などを売りに、3LDKで月額30万円の物件も出ている。一方、同市辻には敷金や礼金が不要で、約1・5畳ほどの空間を月額1万5750円で借りられる「カプセルアパート」が登場。光熱費は定額で、共有キッチンなどを備えている。不動産関係者は「景気や失業率など社会的な背景もあって、二極化が進んでいるようだ」と説明している。

■3LDK30万円「広さ、眺望売り」

 県内の賃料動向調査を行ったおきぎん経済研究所によると、那覇市内は新都心や小禄、首里、モノレール沿線に人気が集中。市西部や真和志地区などは地元関係者の居住が中心で、長く住み続ける人が多い一方、地域外からの借り手が見つかりにくい状況という。仲程章研究員は「那覇市内は家賃の幅も一番大きい」と指摘する。
 特に新都心は県外企業の社宅の需要が高く、稼働率も好調。中部興産那覇新都心店の新里泰生営業主任は「眺望にこだわる人が多く、海が見える部屋が人気」と説明する。
 高級分譲マンションの購入者が転勤や資産運用などを理由に、部屋を賃貸に回すことも多く、月20万円以上の物件も珍しくないという。同市おもろまちには、9階建ての最上階で3LDK、広さ125平方メートルの部屋が月30万円で登場。海や首里城を見渡せる眺望や対面式キッチン、オートロックなどの設備を売りにしている。

■カプセルアパート1.5万円「とにかく安く」

 真和志地区などの住宅密集地では築年数や立地、広さにもよるが、賃料は低めで、ワンルームは3万円台。新里主任は「3年前ごろから二極化が起きている。市内でも家賃5万円以下で探す人か、14万円以上という人が増え、中間層が減っている」と指摘する。
 ウイークリーマンションなどを展開するイン・リンク(那覇市辻)は、月1万5750円で布団が敷ける程度の個室が借りられる「カプセルアパート」の提供をこのほど始めた。與那城賀一社長は「最近は『とにかく安い部屋を』という要望が増えている。収入の少ない人でも借りられる部屋を提供し、生活保護を受けている人や年金生活者などにも広く利用してほしい」と説明する。
 ワンルームの部屋を2段に仕切り、プライバシーを確保。定額6000円の光熱費を別途支払い、冷暖房や共有のミニキッチン、ユニットバスを利用できる。男性向けに20室、女性向けに8室を設置、共有のリビングも拡充した。現在、男性向けがほぼ満室、女性向けは半分が利用されている。
 年金で生活するうるま市出身の波田間功さん(66)は5月に入居し「以前は那覇市内のドミトリーにいたが、衛生的に良くなかった。今は自炊もでき、自分のペースで生活できる」と述べ、那覇市出身の女性(21)は「アルバイトを2つ掛け持ちし、貯金している。小さな部屋でも快適」と話した。
(座波幸代)


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