中年の知人が脳の障害で倒れて数年になる。今でも入院生活を送っている。コンビニのオーナーだった。
普通の小売店を営んでいたが、大型スーパーとの競争に押されコンビニチェーンに加盟した。二十四時間、年中無休だ。人を雇うと利益が出ないため、妻と交代で切り盛りした。知人は夕方から翌朝まで働いた。昼夜逆転の生活で健康への不安を漏らしていたが、どうしようもなかったと家族は嘆く。
コンビニなどの二十四時間営業の自粛要請を検討する自治体が相次いでいる。先陣を切った京都市や埼玉県などは「地球温暖化対策として、環境負荷が大きい深夜型のライフスタイルの変換を考えるべき」と業界に理解を求める。
これに対し業者の多くは、営業時間を縮めても冷蔵、冷凍設備は稼働せざるを得ず、省エネ効果は薄いと反発する。経済活動の制限につながる問題だけに、簡単に決着する話ではあるまい。
コンビニは二十四時間化した社会の象徴といえる。若者を中心に便利さが受ける一方で、健康不安や人手不足などから自粛に前向きな店舗オーナーも少なくないという。
店同士の競争は厳しく、個別の対応は難しい。業界全体で議論を深める必要があろう。同時に消費者も二十四時間化したライフスタイルの是非を考える機会にしたい。