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「矢場とん」そっくり ソウルに模倣店

本家、現地公取に申し立て


ソウル市内にあるYABATONの看板(矢場とん提供)

 名古屋めしを代表するみそかつの老舗「矢場とん」(名古屋市中区大須)の模倣店が韓国・ソウル市内に2店出店していることが、わかった。矢場とんのキャラクターである力士姿の豚を看板などに使っており、矢場とん側は模倣店の商標登録の無効などを求め、韓国の公正取引委員会に申し立てる手続きに入った。


左:ニセ物 右:本家

 矢場とんによると、世界知的所有権機関(WIPO)から昨秋、同社代理人に「韓国で『矢場とん』の商標登録申請の動きがある」との知らせが入った。日本では商標登録されているが、韓国では未登録だった。今年2月に、「YABATON」と名乗る料理店がソウル市のビジネス街に2店出店しているのを、現地の代理人が見つけた。2店舗は韓国人が経営し、韓国の特許庁から商標登録が認められているという。

 矢場とんは、韓国の特許庁に異議申し立てをして、交渉を続けてきたが、さらに公正取引委員会にも申し立てることにした。

 6月に現地を訪れた鈴木孝幸社長(61)によると、模倣店の看板には矢場とんのオリジナルTシャツのローマ字のロゴマークにそっくりの字体が使用され、店の看板には同社のキャラクターや創業年「1947」が堂々と記されている。また、店員が同Tシャツ姿で働いていた。2店では、とんかつ料理を出しているが、矢場とんの代名詞である「みそ」ではなく、ソースが使われていた。

 こうした事態を受けて、同社では6月に中国、台湾でも商標申請を行った。鈴木社長は「みそかつがない『矢場とん』はありえない。韓国を訪れたお客様に同じ店と誤解されたくない」と話している。

 矢場とんは、1947年創業、2004年には東京・銀座にも出店している人気店。愛知、三重、東京で6店舗を展開している。

ほかにもコピー騒動

 韓国では、日本企業の商標権の侵害をめぐる争いがこれまでも発生。2004年に森永製菓が自社製品の「ハイチュウ」と韓国のクラウン製菓製造のキャンデー「マイチュウ」が、類似しているとして、商標権侵害の差し止めを求めた例では、05年にソウル高等法院で和解勧告が出た。その後、お互いの商標を認める和解が成立し、森永側の要求は実質的に通らなかった。

2008年7月2日  読売新聞)
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