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【国際】

温暖化 日中韓で連携 韓国大統領、本社社長と会見

2008年7月8日 08時59分

7日、ソウルの青瓦台で、環境問題への取り組みなどについて大島寅夫中日新聞社社長に語る韓国の李明博大統領=笠原和則撮影

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 【ソウル=築山英司】韓国の李明博(イミョンバク)大統領は7日、主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の拡大会合出席を前に青瓦台(大統領府)で、大島寅夫中日新聞社社長らと約1時間にわたり会見した。李大統領は、9月に日本で開催予定の日中韓首脳会談で東アジアの地球温暖化問題での共同対処について議論する考えを明らかにした。北朝鮮による日本人拉致問題の関連では「北朝鮮が核問題解決後に国際社会に出てくるならこれ(拉致問題)を解決するのが重要だ」と述べ、働きかけを強める姿勢を強調した。

 李大統領は韓国政府の温室効果ガス削減の取り組みでは、2020年の中期目標などの具体的数値を来年中に出したいと表明。特に二酸化炭素排出量で世界2位の中国について「主なエネルギーが石炭という点も問題だ」と述べ、日中韓環境相会合を首脳級に格上げして9月の日中韓首脳会談で3カ国の連携の議論を進めるとした。

 北朝鮮の先月26日の核計画申告書提出については「肯定的に評価できるが、核兵器が含まれず多少不十分な点がある」と指摘。「核をあきらめるのが自国の役に立つと北朝鮮を説得し、必ず成し遂げねばならない」と決意を示した。

 また、米国産牛肉の輸入再開などに反対するろうそく集会が続く原因を「国民の食品安全への関心が高くなった」「牛海綿状脳症(BSE)への正確な情報が伝達されなかった」などと列挙。「10年ぶりの革新から保守への政権交代もあり、政治的呼びかけが多かったが、多数の国民は問題の核心を理解し始めたので(混乱は)これ以上大きくならないと思う」と述べた。

 一方、中部地方を「トヨタ自動車をはじめ世界的な製造業者が集まる日本産業の心臓部」と位置付けた上で「中部地方の優秀な企業を中心に、多数の日本企業が韓国企業と協力して成功モデルをつくっていくことを期待する」と韓国への投資を呼びかけた。

◆環境政策に強い決意

<解説>

 李大統領が会見で強調したのは、自らも拡大会合に参加する北海道洞爺湖サミットに向けた環境政策への強い決意だ。中でも、先進国と途上国の利害が鋭く対立する温暖化対策の議論の場で、独自の役割を発揮する立場を明確にした。

 「韓国は今、先進国と途上国の間にある」。李大統領はそう述べ、数値目標の設定に消極的な中国とインドに積極的に協力を働きかける考えを示した。

 両国と韓国は温室効果ガスの主要排出国でありながら、京都議定書で削減義務を負っていない点で共通する。李大統領が明言した「中長期の温室効果ガス削減の数値目標を来年中に出したい」との方針は、両国に対し積極的な対応を促すメッセージとなる。

 9月の日本での日中韓首脳会談を重要な環境問題を扱う機会にしたいとの提案も、こうした狙いと直結する。同時に日本の環境技術を「世界最高の水準」と高く評価し、日韓の技術協力関係の強化に強い期待を寄せた。 (ソウル・福田要)

(中日新聞・東京新聞)

 

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