「一番大事なことは、代表選が終わった後に今まで以上に党が団結力を示すことじゃないか」
鳩山由紀夫幹事長は8日の「次の内閣」会合で、複数候補による代表選実施が望ましいとの意向を重ねて表明した上でこう強調した。
「選挙戦になれば政策論争ができ、民主党に注目が集まる」(中堅)という皮算用は党内の共通認識とも言え、小沢氏支持を打ち出している菅直人代表代行も選挙戦は否定していない。
こうした中、各グループは対抗馬擁立も視野に、結束を高めるべく夏の合宿を開いているが、その皮切りとなったのが前原氏率いる「凌雲会」。先月26日から1泊2日で、長野県内のホテルに約20人が集まった。非主流派で主戦論が支配的な凌雲会では、前原氏のほかに仙谷由人、枝野幸男の両元政調会長を擁立する可能性が取りざたされている。
「格や盛り上がりを考えれば、代表経験がある前原氏がベスト」(若手)という声もあるが、最近の党内での評判は芳しくない。
例えば、月刊誌で小沢氏が主導した参院選マニフェストを批判し、「次の内閣」農水相経験者3人から、痛烈な退場勧告を受けた。そこでは、前原氏は惣菜パンと菓子パンを1個ずつ食べるが、秘書が菓子パン2個を用意したため激怒。菓子パンをごみ箱に捨てた−とする週刊誌報道まで引用された。
自民党の小泉純一郎元首相や小池百合子元防衛相との会合では「将来の総理候補」とおだてられ、中川秀直元幹事長が主導するたばこ1箱1000円を目指す議連にも参加。「利敵行為だ」と批判の的となっている。
さらに、合宿でのある行動が、凌雲会のメンバーをしらけさせたという。所属議員の話。
「前原氏は合宿2日目の27日午前、締めの前に、地元の予定があるという理由でそそくさと帰ってしまった。『あんたのグループの合宿だろ。失礼なやつだ』とあきれた人は多い。あんなんじゃ代表選に勧められない」
一方、出馬が取りざたされる面々の存在感は逆に高まっている。
仙谷氏は地元・徳島で「あと数週間、時代が仙谷由人を求めるかどうかじっくり判断したい」と代表選出馬の可能性を示唆。自身のグループ「花斉会」の合宿を今月2日から開いた野田佳彦元国対委員長も、「しかるべき時に判断する」と出馬に含みをもたせている。また、岡田克也副代表は沈黙を守っているが、先月に著書『政権交代』を出版、党内の待望論は根強い。
小沢氏は「出たい人は自由ですから出ればいい」と余裕だが、前原氏はどう動くか。