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生コン:違反原料の溶融スラグ混入 強度不足、2棟使用--神奈川・藤沢の業者

 国土交通省は8日、神奈川県藤沢市の生コン製造会社「六会(むつあい)コンクリート」が日本工業規格(JIS)で認められていない「溶融スラグ」をコンクリートの材料に使っていたと発表した。この製品を柱などの主要部分に使うと耐久性能が弱まり、建築基準法違反になる。横浜市のマンションなど2棟で使用が確認されており、同省は8日、同じ製品が使われているおそれのある神奈川県内の約300の物件について、関係自治体に調査を指示した。

 国交省建築指導課によると、六会コンクリートは少なくとも昨年7月から原材料の砂と一緒に溶融スラグを混ぜていた。納入前の建築主による立ち会い検査では、正規のサンプルを示すなどして偽装していたという。

 同社の秋山広取締役営業部長は8日、取材に対し、混入の理由について「品質が良くなるうえ、リサイクルやエコ(環境保全)に協力できるのではないかと技術者が判断した」と釈明した。

 国交省などの調べでは、建設中の横浜市栄区の分譲マンション(鉄筋コンクリート6階建て、計73戸)と、藤沢市のいすゞ自動車工場の事務棟(鉄骨造り9階建て)の2棟で、柱やはりに使用する建築基準法違反が見つかった。いずれもはく離があり、工事は中断している。マンションは半数が売約済みだが、500カ所以上のはく離があるという。同じ生コンを使ったとみられる約300物件の中には鎌倉市の「大仏トンネル」(約130メートル)も含まれている。

 国交省と経済産業省が所管する財団法人「日本建築総合試験所」は8日付で、六会コンクリートのJIS認証を取り消した。民間調査会社などによると、同社は70年設立。資本金1億円で、従業員は約40人。【高橋昌紀、五味香織、野口由紀】

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 ■ことば

 ◇溶融スラグ

 ごみなど廃棄物の焼却灰を溶かし、固化させた粒状のリサイクル資材。資源の再生利用という利点はあるが、生コンの原材料にした場合、内部で膨張するため、はく離現象を起こしやすい。JISの規格外で、柱などの主要構造部分に用いると建築基準法違反になる。1立方メートル当たりの原価は砂に比べ、100円ほど安い。

毎日新聞 2008年7月9日 東京朝刊

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