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【NPO通信】

えいぶる(6)  働くことは生きること

2008年7月8日

開店当初から着々とできることが増え、生き生きと仕事をするえいぶるメイト

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 焼きたてパンの販売からスタートしたえいぶるは、着々と事業を前進させている。えいぶるの連載の最終回では、高岡駅にコロッケ販売の「えきちかコロッケえいぶる」を開店させる今、知的障害者雇用について、思いをつづってもらった。

 知的障がい者の働く場として「えきちかコロッケえいぶる」が高岡駅地下街に今日、八日に開店する。

 「知的障がい者に雇用の場を」と、高らかにうたってみても実際に雇用できたのは四人だけだ。一方、養護学校からは毎年卒業生が巣立っていく。さらなる雇用の拡大を目指し開業に踏み切った。

 パン工房トーストを開店した翌月、高岡市ふれあい福祉センター内のレストランの運営を受託した。最初の一年は二つの事業所の運営で四苦八苦。はた目に順調そうでも、資金のやりくり、メイトの指導など、常に新しい問題が発生し苦労の連続だった。パン屋は原料価格の高騰など、予想しなかった問題も起こった。それでも、動きだした事業所は維持しなければいけない。

 パン屋とレストランはあくまでも民間経営だが、第三事業所は就労継続支援事業A型という福祉サービスの形態を取る。いわゆる作業所と同様に利用料が発生するが、雇用契約を結び、一般就労への移行を支援する。えいぶるでは賃金から利用料を差し引いても、労働に見合ったそれなりの金額がメイトの手元に残ることを目標としている。

 「健常者も障がい者も分け隔てなく働く」ことは、なかなか難しいことだ。生産性だけで見れば、障がい者は健常者より劣る。また「障がい」の理解は簡単だが「障がい者」の理解は難しい。障がいのタイプやレベルが違うだけでなく、一人一人が異なる人格を持っているからだ。

 でも、障がい者に限らず誰もが「分け隔てなく働く」ことや「理解しあう」ことが難しいのだ。障がい者雇用の場では常に「働く」ことの意義を考えさせられる。果たして働くことが幸せにつながるのか? できないことを無理にやらせているのではないか?

 しかし、一年前にできなかったことが今はできる。仕事が終われば充実した顔で「明日も来ます」と帰っていく。つらいこともあるけれど楽しいこともある。誰にとっても働くことは生きることなのだ。 (えいぶる事務局長 松尾世志子)

〈団体情報〉

団体名/特定非営利活動法人えいぶる

主な活動/知的障がい者の働く場の創造と運営。また知的障がい者により高い就労能力を身につけさせ、一般就労に向かわせる一般就労移行支援事業。知的障がい者が地域で自分らしく暮らせるように、広く社会に認知してもらうための働きかけやイベント事業も計画している。

住所/高岡市城東1の9の29

会員数/20人

電話/0766(22)2665

ホームページ/http://www.ac.auone-net.jp/~npo-able/

電子メール npo_able@yahoo.co.jp

 

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