中日新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 富山 > NPO通信 > 記事

ここから本文

【NPO通信】

えいぶる(4) 説明尽くし 寄付集め

2008年6月24日

それぞれができる仕事をこなす「パン工房トースト」=高岡市大手町で

写真

 障害者と健常者が分け隔てなく働けるパン屋を開業する。夢の実現に向けて特定非営利活動法人(NPO法人)えいぶるを設立した後、立ちはだかったのは資金の問題だった。

 パン屋開業の準備と並行してえいぶるの設立申請をした。認証され登記したのは二〇〇六年十月。これで公にNPO法人を名乗り、いろいろな活動ができる。設立資金は会員二十人の入会金と年会費の三十万円のみ。他の資産は何もない出発だった。

 最初に、手をつなぐ育成会や養護学校、福祉施設などへえいぶる設立の説明と寄付のお願いに回った。そこにかかわる障がい者の家族や職員には同じ問題意識がある。また横のつながりも強く、えいぶるの目的や意義は受け入れやすいものであった。障がい者の親たちが中心になって設立したNPO法人として大きな期待もあり、瞬く間に四百万円の寄付金が集まった。しかし、パン屋の設備だけでも六百万円が必要だった。

 目的の一つは、一般社会への障がいに対する理解の浸透だ。誰もが地域で障がい者が生活していることを漠然とは分かっていても、それぞれの抱えている問題は全く知らない。知る機会がないからだ。しかし、これは障がい者自身やその家族だけで解決できる問題ではない。障がい者を受け入れて普通に生活できるようにしていくことは地域の課題だ。一般企業ならば障がい者の就労を積極的に受け入れてほしい。

 いろいろな団体の会合を人づてに聞いては出向いてNPO法人の紹介をした。頭を下げ時間をもらい言葉を尽くしても、なんとなく温度差を感じることもあった。温度差をなくしていくためにもパン屋を開き、障がい者の就労を目に見える形にしなければいけない。

 それまで障がい者とは縁のなかった地元の人たちからも徐々に寄付金が集まった。しかし、開業資金にはまだ足りない。融資を受けようにも、設立したばかりのNPO法人にお金を貸してくれる金融機関などなかった。いろいろな助成金をあたり、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の助成金を申請した。障がい者を常用雇用するため配慮されたものだった。 (えいぶる事務局長 松尾世志子)

 

この記事を印刷する

広告