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診療所の減収「年間800億円の可能性」

 4月の診療報酬改定で、医師が再診時に算定できる「外来管理加算」に“5分ルール”が導入されたことで、同加算の算定率が2割以上も減少し、診療所の減収が年間約800億円に及ぶ可能性のあることが、全国保険医団体連合会(保団連)の調べで明らかになった。厚生労働省が今年1月に示した減収予想の約200億円を大きく上回る試算となっており、保団連は7月8日までに、“5分ルール”の撤廃などを求める要望書を、診療報酬の改定について検討した中央社会保険医療協議会(中医協)の委員と、国会議員(厚生労働委員)に送付した。

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 保団連は、“5分ルール”の影響について、診療所3402施設と、200床未満の441病院を対象に調査した。
 その結果、診療所では、今年3月に58.7%だった算定率が、4月には45.3%に減少。病院では、昨年4月に58.5%だった算定率が、今年4月には45.8%に減っている。

 診療所の減収額は、全診療科の平均で月額75411円、年間換算では90万4928円となり、これを全国の診療所数8万8679施設(今年1月現在)に当てはめると、年間約800億円に達する。
 厚労省の「2006年社会医療診療行為別調査」を基に概算した場合でも、年間の外来管理加算約2000億円、「老人外来管理加算」約1000億円の合わせて約3000億円のうち、算定率の減少幅から計算すると、約684億円の減収になると指摘している。

 一方、厚労省は、今年1月30日の中医協で、外来管理加算に“5分ルール”を導入することなどで約200億円の減収になるとの試算を報告。保団連は「約800億円と約684億円のいずれの数値を取っても、厚労省の試算を大幅に超える減収が発生することになる」と批判している。

 また、保団連は、要望書で、“5分ルール”に関して厚労省が中医協に示した参考資料が、外来管理加算の対象となる再診患者に対する診療時間の調査ではなく、厚労省が委託した業者による「時間外診療に関する実態調査結果」の数値を基に作成したことにも言及。
 保団連が「外来管理加算の時間要件(5分ルール)と別の目的に使用したのは、明らかな不正行為」とする一方、厚労省が「今後の診療報酬改定の検討資料とすることを目的に実施するとした文書を送付しており、不正流用には当たらない」と、主張が対立している問題について、各委員の判断に委ねたいなどとしている。

 さらに、厚労省が作成した参考資料では、約9割の医療機関の平均診療時間が5分以上となっているが、06年6月の中医協に示した別の資料では、約5割の診療所の再診患者の「診察時間」が5分未満になっていることを挙げ、これを基に試算すれば、マイナス額は年間約1500億円に達すると指摘。「時間要件は『おおむね5分を超える』となっており、この額までには至らないが、厚労省の試算を大幅に超える減収は起こるべくして起こった」として、“5分ルール”の即時撤回を強く求めている。

外来管理加算の5分ルール
 
今年4月の診療報酬改定で、外来管理加算の算定要件として「おおむね5分を超える」診察が加わった。同加算(52点、1点は10円)は、診療所と200床未満の病院で、外来での再診の際、処置や検査、リハビリ、精神科療法などがなく、診察、指導、投薬のみであった場合、医師が再診料(診療所71点、病院60点)に加えて算定できる診療報酬。


更新:2008/07/09 18:58   キャリアブレイン


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