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北海道洞爺湖サミット:新興国、温室ガス削減義務付け警戒 「ポスト京都」続く困難

 世界の温室効果ガス排出量の約8割を占める16カ国の首脳が、地球温暖化問題を協議するため初めて一堂に会した9日の主要経済国会合(MEM)。主要8カ国(G8)と新興国の主張の隔たりは埋まらなかったが、京都議定書に定めのない13年以降の新しい枠組みづくりを定める期限は来年末。双方とも、より厳しい覚悟が求められている。

 G8は「2050年に世界の総排出量半減」の長期目標を新興国と共有したい考えだが、新興国側は削減を義務づけられることに警戒を強めている。8日のG8首脳宣言も長期目標の共有はうたったものの、G8自身の数値目標は見送った。

 「ポスト京都」を話し合う国連の気候変動枠組み条約(UNFCCC)締約国会議は、190カ国の締約国が「1国1票」の対等な立場で発言できる。さまざまな利害対立が交錯し、意見の収拾がつかなくなる場面も多い。米国が主導して昨年、MEMを組織した背景には「主要な排出国だけ集めて方針を決めれば効率的」という国連軽視があった。

 ところが、昨年12月の第13回締約国会議(COP13)では、「地球温暖化は待ったなし」との意見で各国が一致。ポスト京都の新たな枠組みを来年12月のCOP15で合意することを決議した。

 中間点となる今年12月のCOP14は、中長期の「ビジョンの共有」という重要テーマの協議に入る。G8首脳宣言は「50年に全世界で半減」の目標を全締約国が共有するよう求めた。たとえG8の排出量がゼロとなっても半減は無理で、新興国に削減義務を課すことが必要だ。しかし、G8が自分たちの数値目標設定は見送る一方、中国などは「先進国は50年までに80~95%削減すべきだ」と主張し、互いの歯車はかみ合わなかった。

 その間にも地球の温暖化は進む。MEMに集った主要排出国の決断が求められている。【山田大輔、足立旬子】

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 ◇主要経済国首脳会合の宣言要旨

 先進国と途上国の首脳は、共通だが差異ある責任及びそれぞれの能力に従い、気候変動問題と闘うことを約束する。

 <長期目標>

 我々は、排出量削減の世界全体の長期目標を含む、長期協力行動のためのビジョンの共有を支持する。世界全体の排出量の大幅削減が気候変動枠組み条約の究極的目的の達成に必要だ。

 <中期目標>

 我々はさらなる行動をとる。世界全体の長期目標の達成には、中期目標、約束、行動が必要となる。先進主要経済国は、先進国間で比較可能な努力を反映しつつ、中期の国別総量目標を実施する。途上主要経済国は、技術、融資、キャパシティ・ビルディングに支援された国ごとの適切な緩和の行動を遂行する。

 <技術>

 再生可能エネルギー、よりクリーンで低炭素の技術及び、原子力を含む技術の利用を促進する。

 <早期に実施すべきこと>

 協力的セクター別アプローチ及びセクター別行動の役割を検討する。

毎日新聞 2008年7月9日 東京夕刊

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