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【社会】

洞爺湖ブーム 地元、期待と不安

2008年7月9日 夕刊

 主要国首脳会議が開かれ、各国政府関係者や報道陣らが多数滞在した北海道洞爺湖町。世界の注目を集め、地元ではサミット後の観光客増加に期待が高まる一方“洞爺湖ブーム”は一過性に終わるのでは、との懸念も出ている。 

 米国代表団や応援警察官が宿泊し、約二百五十部屋が満室状態の「洞爺湖万世閣」。サミット開催を機に改装し、食事内容も充実させた。

 浜野清正総支配人は「施設の質向上を図ることができた。今後も期待できる」と明るい展望を持つ。

 環境省が整備し、昨年オープンした「洞爺湖ビジターセンター・火山科学館」は、五月までの約一年で入館者数が十万人を突破。同省北海道地方環境事務所の宇賀神知則・国立公園保全整備課長は「周辺に見どころは多い。情報発信を続け、洞爺湖に対する関心をさらに高めたい」と話す。

 二〇〇〇年三月の有珠山噴火以降、主力の観光が低迷を続けていたが、昨年四月にサミット開催が決定すると客足は着実に伸び、〇七年の観光客数は前年度比5・4%増の約三百三十八万人。町観光振興課の佐藤正人課長は「閉幕後も『サミットが開かれた環境の街』としてアピールしていきたい」と意気込む。

 一方で、こうした期待を疑問視する声も。商店街のそば店は、サミット前から警備に当たる警察官らの利用で繁盛。それでも同店を経営する女性(46)は「観光客は気に入ってくれればまた来てくれるが、警備の人はもう来ない」。

 町商工会の松岡唯史経営指導員も「サミットが活性化につながればいいが、ブームが一時的なものか、長く続くかは誰にも分からない」と心配顔だ。

 

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