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ベルーナ:呉服展示会で高齢者に高額契約 一部業務停止へ

 販売の意図を告げずに呉服の展示会に高齢者らを招き高額商品を買わせていたとして、経済産業省は特定商取引法に基づき、東証1部上場のカタログ通販大手「ベルーナ」(埼玉県上尾市、安野清社長)に対し、一部業務の停止命令を出す方針を固めた。経産省は既に、同社への立ち入り検査で違法性を確認。高齢者に執拗(しつよう)に購入を迫って数百万円分の契約を結ばせたケースもあり、悪質と判断した。【奥山智己】

 同社はカタログ通販の顧客の高齢者らに対し、「販売する」と告げずに呉服の展示販売会場に勧誘。「よく似合ってますね」などと言って購入を迫り、商品を購入させていたという。

 同社の販売法に対しては、各地の消費生活センターに複数の苦情があった。このため経産省は今年2月、本社のほか東京都新宿区の東京本部などに立ち入り検査をしていた。

 同社は68年、印鑑の訪問販売業として創業。カタログによる通信販売で急成長し、00年に東証1部に上場した。現在は不動産など複数の事業を展開し、07年度の連結売上高は約1251億円。呉服販売事業は赤字が続き4月以降、新規の顧客への販売をやめている。

 同社は「今はコメントできない」としている。

 ◇「見るだけ」と勧誘…複数社員に囲まれ

 「見るだけでいいですから」。そう言われて連れて行かれた先は、高額な呉服の販売会だった。

 計200万円以上の呉服や羽織などを買わされた関東地方の70代の女性によると、06年春、自宅に訪れた男性社員から「着物の展示会があるから来ませんか」と勧誘された。

 会場では40~50代の男性社員5人に囲まれた。「この色、合いますね」「この反物にはこの帯が合いますよ」などと勧められ、「断ったらどうなるんだろう」と怖くなって契約書にサインした。月15万円の年金の半分が分割払いで消えてしまったという。

 「華麗な夢(カレーム)を、お客様にお届けします!」。同社は呉服販売を「カレーム事業」と呼んでいる。女性は「息子にも相談できず、薬を飲んで死のうと思った。まさに悪夢だった」と話した。

毎日新聞 2008年7月9日 15時00分(最終更新 7月9日 15時00分)

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